インバウンドの促進へ 県が観光進行計画策定

 和歌山県は、2018年度の観光振興施策や昨年度の実績をまとめた「県観光振興実施行動計画」を策定した。世界遺産地域の魅力をさらに向上させて周遊促進を図り、インバウンド誘客では新たな国、地域へとターゲットを拡大する。

 県によると、観光客総数は11年の2761万7000人から右肩上がりで増加。16年には3487万人まで増えたが、大河ドラマ「真田丸」の放送終了や秋の観光シーズンの天候不順、大阪府内のホテル不足解消などにより、昨年の総数は3375万9000人と減少した。だが、これらの要因を除けば引き続き好調を維持。世界的旅行ガイドブック・ロンリープラネットの「Best in Travel2018」では、紀伊半島が世界の訪れるべき地域で日本で唯一5位に入るなど世界の評価は高い。

 本年度方針として「世界遺産」のブランド力を最大限に活用し、あらゆるプロモーションで「高野山・熊野」を発信。周遊の拡大では、大辺路ルート来訪客の利便性向上を図り、古座川町内などのトイレを整備する。新たな見どころを創出するため、熊野古道沿いの集落跡「湯川集落」の整備も進める。

 また「水」という切り口で自然の素晴らしさをPRする「水の国、わかやま。」キャンペーンでは、具体的なモデルコースの提案や周遊案内板を整備。800㌔以上のサイクリングロードを活用した楽しみ方を提案する「サイクリング王国わかやま」では、サイクリスト向けのモバイルスタンプラリーで周遊を促進し、県の歴史ストーリーや食、温泉を合わせた100の旅モデル「わかやま歴史物語」でもスタンプラリーを実施する。

 インバウンド誘客に向けた取り組みでは、新たなターゲットに中国の地方都市を加え、ロシアやブラジル、アルゼンチンなど新規市場の拡大を図る。また富裕層をターゲットとしたプロモーションの強化や和歌山ならではの体験型観光プログラム・サイクリングなどスポーツツーリズムを推進。世界遺産の語り部の将来的な人材を確保するため、次世代の養成にも力を入れる。

 県観光振興課は「まだまだ知られていない魅力を発信し、新たなターゲット層の拡大を狙う。地域の経済効果につなげていきたい」と話している。

熊野古道(県提供)

熊野古道(県提供)