持続可能な開発学ぶ 和ユネスコ協70年講演

和歌山ユネスコ協会の創立70周年を記念した特別講演会が26日、和歌山県和歌山市西高松の県立図書館メディア・アート・ホールで開かれ、第8代ユネスコ事務局長の松浦晃一郎さんが「持続可能な開発目標(SDGs)」について講演した。

松浦さんは山口県出身。外務省入省後に北米局長などを経て1999年にアジアで初めてのユネスコ事務局長に就任した。SDGsはミレニアム開発目標(MDGs)を踏まえ2015年に国連で採択。「貧困をなくそう」「海の豊かさを守ろう」など17の目標があり、2030年までの達成を目指している。

松浦さんはSDGs17の目標から、ユネスコが担当している教育分野の取り組みを説明。MDGsが基礎教育の普及を目標にしたのに対し、大学までの幅広い教育と質の高さを求め、貧困の大きな要因にもなっている識字率の向上なども目標に含めているとした。取り組みは先進国が資金や技術を提供することが重要になり、「日本もGDP上位の国。教育だけでなく、海の環境保全や気候変動、日本のためになる目標も多いので世界全体のことも考えていってほしい」と話した。

また、松浦さんは世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」が登録された時に事務局長を務めていた。世界遺産は建造物や遺跡が単独で登録される価値のあるものと、それらを含め周囲の生活文化なども含めたストーリーのある遺産の2種類があることを紹介。無形文化遺産も多い日本では、文化の多様性も意識してもらいたいとした。

講演後は松浦さんが質問を受け付け、日本遺産のストーリー性などについて質問が寄せられた。

講演する松浦さん

講演する松浦さん