下請け取引改善で協定 県と経産省が全国初
経済産業省と和歌山県は23日、県内の下請けなど中小企業者の取引条件改善に向けた取り組みに関する連携協定を結ぶ。聞き取り調査を実施し、その結果を国と県が共有。商慣行の是正や取引適正化につなげ、条件の改善を図る。下請け取引条件の改善に向け、国と地方自治体が連携する取り組みは全国で初となる。
県商工観光労働総務課によると、中小企業の中でも特に製造業の企業収益が低迷。その一因に、不合理な原価低減の要請や原材料費などのコスト上昇分を踏まえた価格転嫁が進んでいない状況があるという。
県内では昨年12月に和歌山市の日出染業が染色業から撤退。取引先商社との値上げ交渉を行うも加工賃は10年前から変化がなく、大量生産時代からの商取引習慣(単価)が続行していたという事例がある。これらを受け、仁坂吉伸知事は繊維業界の商取引慣行の改善について、世耕弘成経済産業大臣(参議院和歌山選挙区)に要望した。
ことし1月に県が実施した県内企業の経営実態調査では、製造業者の67%が価格転嫁できていないと回答。自主行動計画を策定した業界でも、末端の取引で不公正な慣行が残存しており、これらの背景から今回の連携協定に至った。
聞き取り調査は本年度中に、製造業約200社で行う。また下請け取引価格の設定に関するセミナーや講習会の共同開催、情報を活用した国レベルでの対応(行政指導など)について取り組み、価格転嫁の促進、地域経済の好循環を目指す。17日の定例記者会見で仁坂知事は「改善しないと下請け産業が弱ってしまう。この機会に、日本経済がさらにクリーンになればいい」と話した。