東洋ライス 業界初エコ・ファースト企業に

 精米機の製造販売などを手掛ける東洋ライス㈱(東京本社=中央区銀座、和歌山本社=和歌山市黒田・雜賀慶二社長)は、環境省が企業の環境活動を推進する「エコ・ファースト制度」で「エコ・ファースト企業」の認定を受けた。地球温暖化や廃棄物・リサイクルの対策法について、先進性や独自性が認められたもので、米穀業界、県内企業では初めて。

 同制度は、業界トップランナー企業による環境保全活動を推進しようと、2008年に創設された。認定されるとオリジナルマークを使用でき、これまで自動車や建設、航空、生活用品など各産業にわたり大手約40社が名を連ねている。

 認定式は同省で行われ、中川雅治環境大臣から、同社を含むことしの認定企業5社に認定証が手渡された。 

 同社が環境保全に関する取り組み目標「エコ・ファーストの約束」とするのは、主に3点。「自社開発商品であるBG無洗米の普及で生活排水を減らし、環境負荷の低減に貢献する」、「無洗米製造時の副産物『肌ヌカ』を有機肥料に加工して活用し循環型農業を目指す」、「同省や関係機関と連携し、環境教育を推進する」ことなどを掲げている。  

 同社が無洗米を開発したのは1976年、雜賀社長が紀淡海峡を訪れた際、海水が「黄土色」に見え「子どもたちは海を何色に描くのだろう」と危機感を覚えたのがきっかけ。生活排水となる米のとぎ汁に着目した。

 一般家庭などから出る精白米のとぎ汁に含まれるぬかを、玄米を精米した際に取れるぬかとは別の「肌ヌカ」と名付け、精白米から肌ヌカを分離させる技術を開発。洗わなくてもおいしく食べられる「無洗米」、さらに肌ヌカを原料に有機質肥料「米の精」を開発した。

 「米の精」を使用すると土中の微生物が増加して土壌改良がなされ、循環型農業や生物多様性を有する自然環境の実現に有効となり、関係機関が行う環境教育プロジェクトにも協力している。

 同社は、より多くの消費者や外食産業が無洗米を利用することで、CO2排出削減量を21年度には06年度比で32%増やすとし「無洗米を最も歓迎してくれたのは、すし屋」と話す。

 雜賀社長は今回の認定に「全国各地でBG無洗米機を設置している52の米穀企業や販売に協力してくれた小売店、スーパーのおかげです」と感謝。「今後は、協力企業と共に“エコ・ファースト”認定を受けたことの効果的なPR法を検討していきたい」と力を込めている。

 同社の他、ことし認定企業となったのはアスクル㈱、大和ハウス工業㈱、㈱八十二銀行、清水建設㈱。

中川環境大臣㊧から認定証を受け取る雜賀社長(東洋ライス提供)

中川環境大臣㊧から認定証を受け取る雜賀社長(東洋ライス提供)