イタリア学生が海南訪問 商工関係者と交流

 イタリア・フィレンツェの国立料理学校「SAFFI(サッフィ)」の生徒8人が20日から22日まで、和歌山県海南市の黒江地区などを訪れ、商工関係者らと交流を深めた。20日には海南商工会議所で歓迎会が開かれ、海南・海草地域の特産品を使った料理や伝統芸能などを楽しんだ。

 今回の学生の来日は、曾祖父が黒江出身で1934年の海南市誕生に貢献した縁がある埼玉県の食品会社㈱ひびき社長、日疋好春さんが取り組む「ピースフードプロジェクト」の一環。2016年の日伊国交樹立150周年を機に、同校との交流とプロジェクトを開始。今回は海南を含む国内4カ所を訪れる。

 黒江訪問は、まちづくりに取り組む団体「黒江JAPAN」、紀州漆器協同組合の職人らが昨年秋にフィレンツェで漆器のPRを行った縁もあり、実現。歓迎会には生徒と両団体のメンバー、市、海南商工会議所の職員らが出席した。

 生徒らは、海南海草調理師会が協力して用意したオードブルや特産のサンショウを使ったすしなど多彩な料理を味わい、藤白地区の保存会による伝統の獅子舞を観賞。余興の二人羽織の体験もあり、会場は和やかな笑いに包まれた。

 神出政巳海南市長は「紀州漆器にもふれていただき、その魅力をイタリアでも発信していただきたい」、海南商議所の神出勝治会頭は「フィレンツェと海南は互いに世界遺産を有する都市であり、交流がますます盛んになればうれしい」とあいさつした。

 同校のフランチェスカ・ラシャルファリ校長(51)は獅子舞について「若い人が取り組んでいる姿に感動しました。伝統は歴史をコミュニティーに思い起こさせ、次世代につなげる手段だと思います」と話していた。

 生徒のブルーノ・スピガンティさん(20)は「サンショウのすしは新鮮でした。今回の交流で視野を広げたい。日本人は少しシャイですが、協力的で親切なので好きです」と笑顔だった。

 21日には蒔絵の体験や、漆芸の天井画が施された浄国寺を見学するなどした。生徒らは静岡、埼玉、山口各県を訪問し、9月4日に帰国する予定。

乾杯の音頭をとる日疋さん㊧

乾杯の音頭をとる日疋さん㊧