非常袋に歯ブラシを 歯科衛生士会が啓発

 「防災の日」の1日、県歯科衛生士会(山下千穂会長)は、和歌山市のJR和歌山駅前で街頭啓発を行い、災害時の口内ケアの大切さを訴えるチラシやグッズを配った。

 同会によると、災害時の避難所生活では、食事の偏りやストレスにより抵抗力が低下し、水不足などで口内ケアができなくなると、口の中の細菌が唾液とともに喉の奥へ入ることや、細菌が肺の中で増えて炎症を起こす誤嚥性肺炎などが起こりやすくなる。

 1995年に発生した阪神淡路大震災では、「震災関連死」の死因別割合で肺炎が最も多かったことから、口内を清潔に保つことが命を守ることにつながるとし、非常用持ち出し袋には歯ブラシをなど忘れずに入れるよう求めている。

 駅前では、会員らが口内ケアに関するチラシとマウスリンス、歯間ブラシなどが入った啓発グッズ約500セットを配布。「防災の日です。災害時にはお口のケアも必要になります」などと呼び掛けながら、通行する駅利用者らに災害時の口内ケアの大切さを訴えた。

 啓発グッズを受け取った和歌山市の50代女性は「災害時の口のケアは大切だと思うので、家に帰ったら非常用袋に入れたいと思います」と話し、山下会長は「避難所生活では水が貴重になるため歯磨きが難しくなる。家族分の歯ブラシと液体歯磨き剤などを防災袋に追加してほしい」と呼び掛けていた。

駅利用者に啓発グッズを手渡す会員

駅利用者に啓発グッズを手渡す会員