災害に負けない日本経済へ 被害最小化、迅速な復興に全力
一昨年8月3日に任命された経済産業大臣としての在任期間が丸2年1カ月を過ぎました。9月20日に行われた自民党総裁選で安倍総裁が3選され、安倍政権の継続が決まった中で、重要ポストを務めることの重みを受け止め、グローバルな環境が激変していく中で、現場主義を実践し続け、地に足の着いた政策の実施に引き続き取り組んでまいります。
この25カ月間で通商やエネルギー関係のための海外出張は35回、国内出張も41回と、平日・週末問わず国内外を飛び回ってきました。
日EU・EPA(経済連携協定)の署名を実現するとともに、ASEANの閣僚と構築した深い個人的信頼関係に基づく質の高いRCEP(東アジア地域包括的経済連携)を目指す大きな流れをつくることができました。ロシアには11回訪問し、8項目の協力プランの下で約150件の民間プロジェクトが動き出す見込みという状況です。
データを介して、人・機械・技術などさまざまなものがつながり、新たな付加価値の創出と社会課題の解決を目指す「Connected Industries」の実現や、下請け取引適正化、事業承継問題をはじめとする中小企業対策、再生可能エネルギーの主力電源化など改訂されたエネルギー基本計画の実現にも正面から取り組み続けています。
昨年に引き続き、今年も多くの災害が日本列島を襲いました。特に、7月の西日本豪雨、8月の台風20号・21号、9月の北海道胆振東部地震によってお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆さまに対して、心から哀悼の意を表します。そして、被災された皆さまに対して、お見舞いを申し上げます。
西日本豪雨については、被災直後、物流網が麻痺する中で、エアコンや物資などを自衛隊とも連携して迅速に被災地に送り届けました。被災中小企業の支援に当たっては、予備費によるグループ補助金の活用に加え、経済産業局の職員を企業ごとにマンツーマン体制で張り付け、オーダーメイド型の支援を実施しています。
台風20号・21号では、倒木や土砂により道路が通れなくなり、停電が長期にわたる地域が生じました。和歌山の被害も甚大でしたので、私自身、2度和歌山に足を運びました。9月8日には和歌浦地区、雑賀崎工業団地、西浜工業団地を訪問し、被災企業のご事情を伺い、9月15日には川湯温泉、龍神温泉、紀美野町を訪問し、停電からの復旧状況を視察しました。復興に向けた皆さまの取り組みを支援するため、セーフティネット保証4号の活用など、資金繰り支援に万全を期してまいります。
北海道胆振東部地震では、北海道電力管内全域295万戸が停電し、多くの方々に深刻な影響を及ぼしました。厳しい電力需給状況を踏まえて、2割の節電目標を設定させていただいていましたが、京極揚水発電所1・2号機や苫東厚真火力発電所1号機が安定稼働し、節電目標の設定は不要となりました。今後は、例年のように、無理のない範囲で節電へのご協力をいただくこととなります。道民の皆さまの節電のご協力によって、再度の停電を避けることができたことに対し、心から感謝を申し上げます。これからは、観光をはじめとして、北海道経済の復興に本格的に力を入れていきます。
一連の災害対応を通じ、私自身、Twitterを活用して積極的かつ迅速な情報発信に努めてきました。全国の皆さまからの反応を受け、災害時における正確かつ迅速な情報発信の価値を改めて強く実感しました。
また、停電の事後検証を透明なプロセスを通じて行うとともに、全国の電力インフラを総点検し、わが国電力供給の強靭化にしっかりと対応していきます。
災害対応に終わりはありません。反省を踏まえ、着実な改善を積み重ねていく中で、被害を最小化し、迅速な復旧・復興につなげ、災害に負けない強い日本経済をつくっていくことに今後も全力で取り組んでまいります。