古代那賀地方の繁栄を知る 歴民館で企画展

 和歌山県紀の川市東国分の市歴史民俗資料館で24日から、企画展「古代那賀郡の寺院と官衙(かんが)」が始まる。寺院や役所が築かれ、県内でも栄えた古代の那賀地方の姿を、遺跡の出土品などから学ぶ。11月18日まで。

 地方豪族の権力の象徴が古墳から寺院に移行し、7世紀後半には全国の寺院数が500を超え、現在の那賀地方にも分かっているだけで、聖武天皇の命による紀伊国分寺など5寺院が建てられた。

 国分寺周辺では、同時期の完衙(役所)の遺跡が発見されており、食料の調達や管理などを担う厨家(くりや)や穀物を収納する正倉(しょうそう)などがあったという。

 企画展では、当時はまだ珍しかった屋根瓦をはじめ、皿、茶わんなど奈良時代や白鳳時代を中心とする出土品約50点を展示。同館の他、県立紀伊風土記の丘などの所蔵品も並ぶ。

 市教育委員会生涯学習課の森原聖副主査(38)は「古代の那賀地方は紀伊の国の中でも寺院の建立時期が早かった。当時の那賀地方が県内でも特に栄えていたことを知ってほしい」と話している。

 27日午後1時半からは、近畿大学の網伸也教授の記念講演「古代那賀郡の寺院と完衙―南海道を視野にいれて―」がある。定員先着50人。

 入館無料。午前9から午後4時まで。月・火曜、祝日の翌日は休館。記念講演の申し込みなどは同館(℡0736・79・3907)。

紀伊国分寺の屋根瓦も展示されている

紀伊国分寺の屋根瓦も展示されている