現代の名工に県内3人 新日鐵住金の技師ら

 卓越した技能者を厚生労働大臣が表彰する2018年度「現代の名工」に和歌山県内から、㈲ハヤシ・シザーズの手かじ鋳造工、林伸昭さん(58)=和歌山市=、㈲山本園の造園工、山本聰洋さん(62)=高野町=、新日鐵住金㈱和歌山製鉄所のボイラーオペレーター、福江敦志さん(62)=和歌山市=の3人が選ばれた。同社からは6年ぶりの受彰となった福江さんに話を聞いた。

 福江さんは1956年に富山県に生まれ、地元の高校を卒業後、住友金属工業和歌山製鉄所(当時)に入社。鉄鋼業のエネルギー需給業務に44年間従事してきた。

 爆発やガス中毒の危険性が高い副生ガスの管理や、排熱回収ボイラーの改善といった省エネルギー設備改善業務などを手掛け、特に、排熱温度域ごとに改修条件を変化させるカスケード型排熱回収ボイラーにおいて、日本で初めて蒸気の有効利用を考案、実施し、製鉄所内の上記運用の安定化に大きく貢献したことなどが評価された。

 後進の指導、育成にも力を注ぎ、和歌山製鉄所だけでなく、他所でも実践的な安全作業ポイントの指導を行った。また、室内で定期的に実施している空気マスク装着訓練を経験に基づいて改善するなど、安全面での貢献も大きい。

 91年に社内表彰(社長賞)、2015年に和歌山市優良従業員賞、県技能賞を受賞している。

 「中途半端にならないように決めたことはやり遂げる覚悟で働いてきた」という福江さん。「製鉄所に育てられた。ここに来ていなかったら今の自分はいない」と職場への感謝を口にし、後進の指導については「先輩の言ったことはメモを取って覚えるように指導している。質問されたら曖昧な返事はしない。もちろん、ほとんどのことは答えてきました」と、厳しさと愛情の両方をのぞかせる。

 受彰には「まさかとびっくりした。今までやってきたことを評価していただきうれしい」と喜びを語った。

後輩に業務を指導する福江さん㊧

後輩に業務を指導する福江さん㊧