台風影響で寂しい姿に 三年坂の大イチョウ

紅葉の時季が終盤を迎え、和歌山城内では紅葉渓庭園などの木々が美しく色づいている中、三年坂沿いにある名物の大イチョウは、8、9月の台風の影響で枝は折れ、葉の数も少なく、例年とは全く違う寂しい姿となっている。

高さ20㍍近く、見事な枝振りのイチョウは、例年なら黄金色に染まり、散った葉で一面はじゅうたんのようになり、市民や観光客の目を楽しませる。

ことしは台風が相次いで襲来し、特に9月の21号の暴風はすさまじく、市内で観測史上1位の最大瞬間風速57・4㍍を記録。大イチョウの近くの街路樹も根元から倒れ、三年坂周辺も相当な暴風だったとみられる。大イチョウは太い枝が数本折れる被害を受けた上、その後、傷ついた葉が次々と散り始めた。

県立自然博物館によると、考えられる原因の一つに塩害があるという。台風による塩害は、巻き上げられた海水が暴風を伴う雨とともに降り注ぐことで発生する。降水量が多い場合は、塩分はある程度流されるが、台風21号の場合は、活発な雨雲が通り過ぎた後も暴風が続いたことから、残った塩分が多かったと考えられる。

大イチョウの葉は縮れ、茶色くなるなどして大半が落ち、枝に残った葉も傷のために光合成がうまく行えず、きれいな発色につながらなかったとみられる。

毎年色づいた大イチョウを楽しみに撮影をしているという市内の三浦寿子さんは「こんな姿になってさみしいし、木がかわいそう。ことしは酷暑の後に台風が来て、植物にとって厳しい環境だった気がする。頑張ってまた元の姿に戻ってほしい」と心配そうにことしの姿を写真に収めていた。

一面の葉が黄金色に染まる例年㊧と異なり、枝は折れ、葉もほとんど 残っていない大イチョウ

一面の葉が黄金色に染まる例年㊧と異なり、枝は折れ、葉もほとんど 残っていない大イチョウ