死に方は決められない 養老孟司さんが講演
高齢者と病気への向き合い方について考える市民フォーラム「生き生き楽しい長寿を目指して!」が23日、和歌山県和歌山市小松原通の県民文化会館大ホールで開かれ、『バカの壁』シリーズの著書などで知られる養老孟司東京大学名誉教授らが約950人の来場者を前に講演した。
実行委員会主催。毎年1回開かれており、今回が15回目。
養老さんは「長寿を阻む壁乗り越えて」と題して講演。自分の死に方について考えることに疑問を示し、「自分の死に方は自分で決められると考えているのだろうが、それは思い込みではないか。皆さんは自分がどう生まれてくるか決められなかったはず」と話した。
現代人が頻繁に医療機関を受診することについても「過剰ではないか」との考えを示し、自身は40代で糖尿病となった後も医師の治療を受けておらず、「食べる量を減らして歩けば大丈夫と思っている」と紹介。健康を意識しすぎる現代の在り方にも疑問を投げ掛けた。
日赤和歌山医療センター第二泌尿器科部長の玉置雅弘さんや泌尿器科医の林正さんらを交えて開かれた公開討論では、会場から「〝ぴんぴんころり〟が目標だが、これから具体的に何をすれば良いか」との質問があり、林さんは「今したいことを全力でやれば良いのでは」、玉置さんは「ちょっとうまくいかないことがあっても笑い飛ばすくらいの気持ちが大事ではないか」と答えていた。