保守王国に揺らぎ 自民は苦戦、共産は倍増
自民が各地で苦戦し、磐石とみられてきた「保守王国」の揺らぎが浮き彫りになったといえる和歌山県議選だった。
二階俊博自民党幹事長の地盤(衆院和歌山3区)内の御坊市、日高郡、西牟婁郡の3選挙区で現職3人が落選。特に御坊市は、9期目を目指した中村裕一氏が共産新人で元同市議の楠本文郎氏との一騎打ちに敗れ、県政界に衝撃をもって受け止められた。
二階氏の長男が出馬し、敗れた2016年5月の同市長選以来の保守分裂のしこりが大きく影響したとみられる。
中村氏と、日高郡で落選した花田健吉はともに二階氏の元秘書であり、県外でも大きくニュースとして取り上げられる結果だった。
自民は議席を28から25に減らしたが、単独過半数は維持。党県連は、保守系無所属の当選者の加入を進める構えで、自民一強の県議会の大勢に影響は少ないとみられている。
公明は和歌山市で現有3議席を確保。1、3、4位の上位での当選を果たし、争点に乏しい選挙戦の中で、支持基盤を確実に固め、安定した戦いを展開した。
共産は2議席から4議席に倍増した。御坊市に加え、西牟婁郡でも自民現職を抑えて元職が当選。紀の川市では、保守系が独占してきた3議席の一角を、無投票で初めて獲得。和歌山市では、前々回に失った2議席目の回復はならなかったが、現職が1議席を守った。
国民民主は、岩出市では自民に敗れたが、和歌山市で県連幹事長の浦口高典氏が議席を死守した。
日本維新の会は、維新の党時代の前回に得た議席がその後無所属となったことを受け、改めて和歌山市に新人を擁立。大阪のダブル選挙で注目された自党をアピールし、再び1議席を獲得した。
投票率は過去最低を更新し、47・01%にとどまった。政界関係者には衝撃を与えた選挙戦となったものの、一般有権者の関心は低下する一方となっている。