北向き地蔵はどこ 紀の川市職員観光マップ
和歌山県紀の川市の2018年度新規採用職員19人が、市内を訪れる観光客にまち歩きを楽しんでもらおうと、「粉河のお地蔵さん探索」「フルーツ」「歴史観光」をテーマとした3種類の観光マップと、貴志川地区のPR動画を作成した。
市は、職員の施策を提案する力や仕事への能動的な姿勢を育成しようと、新規採用者を対象に17年度から提案型研修を実施。今回は職員が4~5人の4班に分かれ、昼休みや終業後などに集まり、どんなマップを作るか話し合ってきた。
粉河の地蔵を取り上げた班は、JR粉河駅から粉河寺にかけての地域に、全国的に少ないといわれる北向きの地蔵が多く並んでいることを紹介。マップには14体のうち子安地蔵や延命地蔵など5体のみ写真や解説を掲載し、他の地蔵は地図に位置だけ示して探してもらう構成にした。地蔵が赤いよだれかけや頭巾を着けている理由や、地蔵によって姿勢が異なる理由なども「お地蔵様のひみつ」として紹介している。
「歴史観光マップ」は、旧南丘家住宅や旧名手宿本陣などの文化財の魅力を写真を交えて伝え、「フルーツマップ」は市特産のフルーツが味わえるカフェや土産施設など約20店を掲載。PR動画「貴志川へ出かけよう旅電車」は、レンタサイクルで周遊できる貴志川沿いの観光名所を紹介した内容となっている。
年度末の先月に完成し、「粉河お地蔵さん探索マップ」を作成した班の森緑さん(28)、松野春花さん(19)、貴志美里さん(19)の3人は、粉河駅前で利用者にマップを配布する活動もした。
商工労働課副主査の森さんは「マップ作りを通じて、身近な地域に知らないものがたくさんあることを痛感しました。北向きの地蔵は珍しいので、マップを使って親子連れなどで気軽に地域を巡っていただけたら」と話していた。
「粉河お地蔵さん探索マップ」はJR粉河駅構内に、「歴史観光マップ」と「フルーツマップ」は貴志駅前の観光交流拠点「紀楽里」に設置し、PR動画は市役所本庁舎1階の案内板モニターで上映している。