メディアに広がる忖度 望月さん報道語る

菅義偉官房長官の記者会見で沖縄の米軍基地移設問題や森友・加計両学園を巡る疑惑などについて積極的に質問している東京新聞社会部記者の望月衣塑子さんが4月26日、和歌山市の和歌山県民文化会館で開かれた「憲法を考える夕べ」で講演し、第2次安倍晋三政権のメディアに対する姿勢について語った。

青年法律家協会和歌山支部が主催。望月さんは「政治家の汚職を追い掛けるのがすごく面白い」と話し、「記者は権力側が隠そうとすることを明るみに出すことが大事」と強調。第2次安倍政権の成立以降、首相官邸での記者会見の開催回数が減る一方で、報道機関の幹部と安倍首相の会食は増えたとし、メディアの政権批判が第1次政権の退陣に大きな影響を与えたという認識から、政権に批判的な報道を少なくさせることに力を入れている可能性があると話した。

2014年末の衆院選の報道を巡り、自民党がテレビ局に対して「報道の公平中立ならびに公正の確保のお願い」との文書を送ったことにふれ、「今の政治に批判的な意見を5人分取って来た記者に対しデスクが、評価している人の意見も5人分取るよう促すなど、テレビ局が(政権の意向を)忖度(そんたく)し批判を控える空気がじわじわ広がっている」とし、「メディアは今こそ権力に向き合い、納得いかないことに声を上げなければ権力側の思うままになる」と強調した。

菅官房長官に対する望月記者の質問を巡っては、昨年12月に首相官邸が、沖縄県辺野古沖に赤土が広がっているとする質問は事実誤認だとする文書を公表。望月さんは「海が目に見えて赤くなっているのを見れば赤土が多く入っている可能性が高い」と話し、投入土砂に占める細粒分の含有率を10%前後とする県と国の合意が守られていないとして政府の対応を批判した。

政権と報道の関係を語る望月さん

政権と報道の関係を語る望月さん