ICOMメンバー来和 県が先進事例を発表
日本初開催の国際博物館会議(ICOM)京都大会の一環で、同会議教育・文化活動国際委員会(CECA)のメンバー約90人が5日、和歌山県和歌山市を訪れ、県内の高校生らが参加している文化財保全や災害の記憶を共有化する取り組みなど先進的な活動の発表を聞き、博物館が関わる教育活動について意見交換した。
ICOMは世界138カ国・地域の博物館関係者約4万4500人が会員の国際組織で、専門分野ごとに30の国際委員会がある。7日まで開かれる京都大会の中で、各委員会が本会場を離れて行うオフサイトミーティングの訪問先の一つに和歌山が選ばれ、来県が実現した。
CECAメンバーは県立紀伊風土記の丘で古墳や移築された古民家、資料館などを見学し、ホテルアバローム紀の国でランチタイムセッションに出席した。
仁坂吉伸知事がミレネ・キオヴァト委員長(サンパウロ州立美術館教育部長)はじめメンバーを歓迎し、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」など県内の文化的資源と活用についてアピール。二階俊博自民党幹事長がメッセージを寄せた。
浮島智子文部科学副大臣は、県立博物館が和歌山盲学校などと連携して制作した、解説の文字だけでなく文化財の形状も触って理解することができる図録などのユニバーサルデザインの活動について「和歌山発、世界初と言える取り組みであり、障害の有無にかかわらず博物館を楽しむことができる」と紹介。出席者には「日本、和歌山の素晴らしさを感じて、持ち帰って、広めていただきたい」と呼び掛けた。
昨年の「『世界津波の日』高校生サミットin和歌山」に参加した串本古座高と耐久高の5人の生徒は、安政南海地震で人々を救った濱口梧陵の「稲むらの火」の逸話や、サミットでの体験を英語で発表。
議長を務めた串本古座高3年の伊森安美さんは、48カ国・地域から参加した約400人の高校生との交流、議論を通じて世界に視野を広げ、連帯できた喜びを語り、「稲むらの火スピリット(精神)」の大切さを訴えた。
さらに、県立近代美術館・博物館では、和歌山工業高と連携し、3Dプリンターで制作している仏像レプリカや、印南中学校が地域住民と進めている災害の記憶を共有化する取り組みなどについて意見交換した。