増税の影響まだ不透明 決済多様化で利用増
1日から消費税率が10%に引き上げられ、併せて飲食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率が導入されて10日が過ぎた。キャッシュレス決済によるポイント還元もスタートし、複雑な制度による影響を事業者はどう感じているのか、増税後の変化について話を聞いた。
JR和歌山駅直結のショッピングセンター和歌山MIOでタリーズコーヒーを運営するのは大十㈱(和歌山県海南市船尾)。ターミナル駅で営業する店舗のため、販売全体に占める店内飲食は9割に達し、軽減税率が適用される持ち帰りは1割程度にとどまる。
和歌山MIO店ストアマネジャーの大橋純さんは「昨年の10月上旬と比べても売り上げが極端に下がっているということはない。9月に売り上げが落ち込むなどの大きな影響も少ない」と話し、客単価にも、今のところ変化はみられないという。
変化しているのは支払い方法。現金が最も多いのは変わらないものの、クレジットカード、交通系電子マネーのICOCAとSuicaに加え、今春から追加したQRコード決済と他の電子マネーの利用が増えている。
増税前の9月の利用者数は前年同月比約1・5倍となり、キャッシュレス決済などの支払い方法の多様化が利用者増につながっていると見られている。
キャッシュレス決済に関しては、政府が消費者の負担軽減策として、来年6月30日までの期限付きで「キャッシュレスポイント還元」をスタート。還元率は業態などで異なり、大手スーパーやデパートでは還元なし(実質税率10%、8%)、フランチャイズ店やコンビニエンスストアでは2%還元(同8%、6%)、中小規模店舗では5%還元(同5%、3%)となり、実質的な負担税率は5種類に分かれる。
同店では今のところ、増税による目立った悪影響はないとしているが、10月から新商品投入によりメニューを充実させ、顧客満足度を上げるなど、客足を鈍らせないための対策を進めている。
県内スーパーの関係者も、増税の影響がどのように出てくるかは不透明だとし、「当面は対策を講じながら様子を見ることになる」と話している。