東日本に甚大な被害 台風19号県内も停電等

 台風19号は関東甲信越、東北を中心に河川の氾濫や土砂災害など甚大な被害をもたらし、15日昼までに67人の死亡が確認されている。和歌山県内は人的被害はなかったが、12日に鉄道の運休や停電、道路の通行止めなどが相次いで発生した。

 県によると、12日午後5時までに、1時間の最大雨量は高野町上筒香で31㍉、かつらぎ町花園などで21㍉に達し、累積雨量は新宮市滝本で241㍉、上筒香で224㍉。最大瞬間風速は、潮岬で同日午後3時37分に29・3㍍を記録した。

 避難勧告・指示の発令はなかったが、各地で住民が自主避難し、和歌山市では連絡所など20カ所に最大で41世帯48人が避難した。

 停電は、12日正午ごろには紀の川市と岩出市、みなべ町で計約1320軒、午後6時半ごろには田辺市と新宮市、那智勝浦町で計約1810軒発生し、いずれも順次復旧した。

 交通の状況は、JRがきのくに線、和歌山線、紀勢線を合わせて12日は特急32本、普通列車147本が運休(部分運休含む)し、13日はほぼ通常ダイヤでの運行だった。道路は、越波や倒木のため11カ所で一時通行止めとなった。

県職員を栃木に派遣 支援ニーズ調査など

 仁坂吉伸知事は15日の定例記者会見で、多くの死者が出ていることについて「心からお悔やみを申し上げる。急いで被災地の復旧に努めなければいけない」と述べ、被災地支援のため、県職員3人を先遣隊として同日から19日まで、栃木県庁に派遣することを発表した。

 災害対策課によると、関西広域連合の割り当てにより栃木県への派遣を決定。防災企画、危機管理・消防、循環型社会推進の3課の職員が、被害状況の確認や支援のニーズの調査などに当たる。

 栃木県では南西部の佐野市や栃木市などで河川の氾濫による浸水被害が発生。仁坂知事は「水没した家の数がものすごく多いと聞いている。家財道具などで災害廃棄物の山ができるのが心配。分別して現地で処理できるようなシステムをつくらなければいけない」と話した。

 県警は、救出救助活動のため、広域緊急援助隊として職員8人を13日から長野県に派遣している。