2割で引上必要 最低賃金改定の影響率調査

 求人サイトなどを運営する㈱アイデム(東京都新宿区、椛山亮社長)は、本年度の地域別最低賃金改定による影響調査を実施した。4~7月のパート・アルバイトの募集時時給のうち、改定後の最低賃金よりも低くなる割合(改定影響率)を算出。和歌山県は調査した16都府県の中で3番目に低い19・8%で、約2割の求人で時給の引き上げが必要とみられる結果となった。

 調査は、東京都、神奈川県など東日本8都県、大阪府、和歌山県など西日本8府県を対象に実施。同社が運営する求人サービスなどのデータベースから約11万件を集計した。

 改定影響率が最も高かったのは神奈川県(62・55%)で、次いで東京都(46・42%)、大阪府(43・64%)。低かったのは群馬県(14・95%)、茨城県(15・3%)、和歌山県(19・8%)の順で、和歌山は西日本では最も低かった。

 同社の分析では、改定影響率が高い地域は、募集時時給で設定されやすい、キリの良い50の倍数をまたいだ額になっている傾向がある。茨城県と栃木県を比較すると、改定額は849円、853円で4円の差だが、栃木は850円での募集ができなくなり、改定影響率が高まったと考えられる。

 改定影響率が低かった和歌山は803円から830円への引き上げ改定。西日本で最も改定影響率が高かった大阪府は936円から964円への引き上げで、キリの良い950円での募集はできない額になっている。

 集計は業種・職種別にも実施。データのうち、改定額未満のものを改定額まで切り上げて算出した「切り上げ平均時給」と通常の平均時給の差額を計算すると、改定影響率が50%超の業種・職種では差額が10円以上と高くなるケースが多く、改定後の平均時給は大きく上がると予想される。一方、改定影響率が10%未満の業種・職種では差額は高くても2円にとどまり、改定後の平均時給に大きな変化はないとみられている。

 和歌山の業種別集計をみると、改定影響率が最も高かったのは52・05%の「製造業」(平均時給843円、切り上げ平均時給853円)、最も低かったのは2・01%の「医療・福祉業」(同1133円、1134円)。職種別では54・76%の「ドライバー・配達」(同829円、842円)が最高で、0・77%の「教育・保育」(同1110円、1110円)が最低だった。

県内の職種・業種別の改定影響率

県内の職種・業種別の改定影響率