漫画で活躍の2人に 19年度大桑文化奨励賞
文化・芸術分野で優れた活動に取り組む人に贈られる公益財団法人大桑教育文化振興財団(大桑堉嗣理事長)の2019年度大桑文化奨励賞に、紀美野町のイラストレーター、スケノアズサ(助野梓)さん(33)、和歌山県海南市出身の漫画家で大阪芸術大学客員教授のいわみせいじさん(59)の2人が決まった。表彰式は11月19日、和歌山市内で行われる。
スケノさんは大阪市立工芸高校、京都精華大学マンガ学科を卒業し、出版社の似顔絵事業部で勤務。退職後に夫と共に約2年かけて世界一周旅行に出掛け、各国の絵を描く中で東南アジアやチベット、ペルーなどの山岳地帯で暮らす人々への憧れが強まり、帰国後は夫の故郷の紀美野町に移住し、漫画やイラストの仕事を続けている。
移住から2年後の15年、豊かな発想と心温まる優しい作風が評価され、第6回日本新薬こども文学賞の絵画部門で優秀賞を受賞。県発行の移住体験コミック『わたしの和歌山ぐらし』、毎日新聞連載のイラストコラム『カントリースケッチ』では県の文化、自然、生活などを紹介し、4コマ漫画『ペコモコちゃん』では子育てや畑仕事などの身近な話題で親しまれている。
いわみさんは県立大成高校を卒業後、大阪産業大学に進んだが、1年後に中退し、翌年に芳文社の月刊誌「まんがタイム」に『おーい!ダンくん』の連載を始め、漫画家としてデビューした。
ニュース和歌山の『和歌山さんちのハッサクくん』、サンケイスポーツの『ダボ助くん』、大阪新聞の『ボンちゃん』などの長期連載の他、朝日放送のテレビ番組「教えて!ニュースライブ正義のミカタ」のイラスト、紙芝居を担当し、落語会の舞台で「ステージ漫画」や「似顔絵」にも取り組んでいる。
06年からは大阪芸術大学、大阪府高齢者大学(NPO法人)、美術専門学校などで教え、10年には文化庁文化交流使に指名され、シンガポール、マレーシア、韓国、イギリスなどで漫画を通じた国際交流活動を続けている。
文化奨励賞の他、本年度は、文化活動団体援助に紀州高野組子細工師の池田秀峯さん(73)、県指定無形民俗文化財保持団体援助に古座獅子舞保存会(串本町、芝﨑晴也会長)と田辺祭保存会(田辺市、高田英雄会長)が選ばれ、学校図書の寄贈は10園・校に行われる。
同財団は㈱オークワの創業者・大桑勇が1993年に設立。毎年、大学生や高校スポーツ選手への奨学金給付、市町村対抗ジュニア駅伝競走大会援助、学校図書の寄贈など、文化やスポーツ、教育に関わる活動に援助を続けている。本年度の援助額は総額2936万円。