漆器まつりへ 組合青年部が記念品を制作

 海南市の紀州漆器協同組合(田村彰男専務理事)と同青年部(堺昭憲部長)は、11月2、3日に同市で開かれる「第31回紀州漆器まつり」に向けて記念品を作成。黒江の紀州漆器伝統産業会館「うるわし館」を作業場に部員15人が集まり、ベテラン職人の伝統技術を継承しながら制作を進めている。

 制作しているのは漆器まつりの開催中に愛好家と一般参加で行う「ミニ四駆大会」の参加賞の木札100個と、優勝者に贈る盾。どちらにもイラストや文字がシルクスクリーンで絵付けされ、金や銀の蒔絵(まきえ)が施されている。

 シルクスクリーンによる絵付けの技術を教えているのは小畑恵嗣さん(69)。古くは版に絹を用いていたが現代ではナイロンなどの合成繊維が用いられ、きつく張った布に、光と融合すると繊維が溶ける専用の液体で図柄を描いて版を作成。絵付けをする箇所に版を置き、はけで塗料を薄くのばすことで絵付けをすることができる。

 小畑さんは18歳から漆職人の道に入り約40年以上にわたりシルクスクリーンによる絵付けを手掛けている。

 小畑さんはへらで適量の塗料をすくうと、一息に版の上でのばして次々と美しい文字を刷り上げ「若い職人が熱心で頼もしいです」と笑顔。

 デザイン担当の青年部メンバーは「同じようにやっているつもりだが、塗料にムラができてなかなか難しい技術。ベテランの素晴らしさを感じます」と話していた。

 また、市の委託事業で制作する「ジャンボ漆器」として、黒江小学校に贈る、縦900㍉、横2500㍉の黒地に金色の蒔絵で校歌が記された漆塗りの板を制作。一文字ずつ丁寧に、金粉で蒔絵を施していた。

 28歳から45歳までの若手職人を率いる堺部長(40)は漆器まつりに向け、「紀州漆器の伝統を継承しながら、さまざまな分野で漆器の良さ、楽しさを知ってもらえるようにPRしていけたら」と話している。

技術指導をする小畑さん㊧と堺部長