水道管老朽化対策へ 和市の課題浮き彫りに

最長3日間を予定していた和歌山市の広域断水が回避され、混乱は収束に向かっているが、今回のように老朽化した水道管の破損は今後も発生が予想され、対策は大きな課題となる。一方で、断水に備えて行われた事前準備や内外の支援などは、今後、同様の事故や災害などが発生した際の取り組みにつながってくる。

断水回避を受けて市は20日午前9時から、第4回断水対策本部会議を開催。企業局は市内の水道管の現状について、総延長約1500㌔のうち約250㌔が設置から40年以上経過し、経年化率は16・9%と説明した。中核市平均の19・31%に比べると低いが、更新などの対応が必要となっている。

漏水対策では、水道管が破損した場合に他の箇所から水を回して対応できるよう、配水のループ化を順次進めている。

尾花正啓市長は今後の取り組みのポイントとして、路面からの管の探査技術を向上させ、破損に迅速に対応できるようにすること、更新の優先順位を明確にし、重点的に対応すること、ループ化工事を推進することを挙げ、今回の事故を反省材料として進める考えを示した。

花山は通行規制中 学校は順次通常に

断水時の大きな課題となった一つがトイレの確保。対象地域のスーパーマーケットなどは通常営業を予定する一方、トイレの使用はできないとしていた。

対象地域の一部のコンビニエンスストアやホームセンターなどは仮設トイレを設置し、あるコンビニの店員は「初めての対応なので、うまくできるか心配」と話していた。

市の玄関口であるJR和歌山駅もトイレの使用ができないとされたため、市は来訪者の対応のために仮設トイレの設置をJR側と協議し、準備していた。

二階俊博自民党幹事長の事務所(御坊市島)は18日午前、震災時などの炊き出し支援のために準備しているポリタンク容器160本(容量2200㍑分)を、県環境生活部と日高振興局に引き渡し、給水支援への活用を申し出ていた。
尾花市長は「住民が混乱し、経済活動に大きな影響を与えたことについては本当に申し訳ない」と改めて市民に陳謝。その上で、「断水を決定しなければ工事はできない状況だった。ギリギリの判断だったが、間違いはなかったと思っている」と述べた。

花山は通行規制中 学校は順次通常に

花山交差点では、道路の現状復旧と、調査で判明した空洞の可能性への対策が必要なため、通行規制が続いている。

断水予定だった地域の学校は20日、13小学校と3中学校、2幼稚園が午後臨時休校、1幼稚園が全日休園となり、21日は小学校と幼稚園が給食用食材の確保などの状況により学校ごとに判断し、中学校は通常通りの授業となる。公立、私立の保育所、認定こども園は通常通り開園している。

水道管の現状などが報告された断水対策本部会議(20日午前9時)

水道管の現状などが報告された断水対策本部会議(20日午前9時)