文化財を守り後世へ 風土記の丘で消防訓練

「文化財防火推進週間」に合わせて和歌山県和歌山市消防局は1月29日、岩橋の県立紀伊風土記の丘で総合消防訓練を行い、文化財保護への防火意識を高めた。

同週間は26日の「文化財防火デー」を含む一週間。同防火デーは1949年1月26日に、現存する世界最古の木造建造物である法隆寺(奈良)の金堂が燃え、壁画が焼損した火災をきっかけに定められた。

紀伊風土記の丘は約65万平方㍍の園内に古墳や文化財民家、万葉植物園、復元竪穴住居、資料館などがある。

訓練には同施設の自衛消防隊15人と市消防局、市消防団から車両7台、27人が参加。施設内の旧小早川家(県指定文化財)の西側山林から出火し、同文化財への延焼の危険が生じたとの想定で行われた。

施設の職員が出火を確認し119番通報と初期消火に当たり、併せて宝物の搬送と避難誘導を行った。消防局隊員と消防団員は一斉にホースから勢いよく水を放った。

山下直樹消防局長は「一連の活動は極めて連携が良く日頃の訓練の成果をよく発揮した。紀伊風土記の丘には大変重要な文化財がある。火災や災害から守り、後世へと引き継がなければならない」と講評した。

紀伊風土記の丘の中村浩道館長は「文化財を守っていくのが私たちの使命。将来に託す役割を担っていると思う」と話した。

山林に向けて放水する隊員ら

山林に向けて放水する隊員ら