港まつり、ぶんだら中止 和歌山市が対応強化

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、和歌山県が県内の遊興施設や劇場などに休業を要請したことを受け、和歌山市は24日、対応を発表。市民会館などの公共施設を新たに休館する他、対象店舗の休業が確認されるまで、県外からの車両流入状況の調査を続け、利用者に自粛の呼び掛けを行う。感染収束の見通しが立たないことから、夏の大イベントである「港まつり花火大会」と紀州踊り「ぶんだら節」の中止も決定した。

新たに休館となった公共施設は、市民会館、市立博物館、和歌の浦アート・キューブ、市立体育館(松下、市民、河南、東公園)、観光交流センター、和歌山城観光案内所など。詳しい内容や問い合わせ先などは市ホームページに掲載している。

大阪府などから市内のパチンコ、ゲームセンター、カラオケなどの遊興施設、大型商業施設などに利用者が流入している問題については、14日から市が21カ所で行っている調査の結果、パチンコ店を訪れる車両の約1割が県外ナンバーであることが分かっており、仁坂吉伸知事が県外からの訪問者受け入れの自粛を呼び掛けた17日以降も、同様の状態が続いている。

県の休業要請を受け、市は対象店舗の休業が確認されるまで調査を継続し、来店者にはチラシを配るなどして自粛を呼び掛ける。さらに、少年センターが中心となり、ゲームセンターやボウリング場などの屋内店舗5カ所の見回りを行い、来店状況の調査や、少年の来店者への声掛けなどを進める。

市民に長年親しまれている夏の風物詩も中止となった。

毎年7月下旬に和歌山港で開かれている「港まつり花火大会」は、約3000発の花火と夜店などを楽しみに、約3万人が訪れる。1953年に始まり、ことしは68回目を迎えるはずだった。

52回目を予定していた、紀州おどり「ぶんだら節」は毎年8月初旬、和歌山城前のけやき大通りを中心に「おどるんや~紀州よさこい祭り」と同日開催され、約15万人でにぎわうが、ことしは踊り子たちの姿が見られなくなった。

両イベントとも、過去に悪天候で中止されたことはあったが、感染症による中止は初めて。参加者や来場者の健康、安全を最優先に考慮し、苦渋の判断となった。

市役所で記者会見した尾花正啓市長は「大阪などの大都市のような(感染が大きく拡大する)状況にはなっていないが、今後さらに警戒を要する」と述べ、外出の自粛や「密閉・密集・密接」の回避など感染防止対策への一層の協力を呼び掛けた。

和歌山市の対応強化を説明する尾花市長

和歌山市の対応強化を説明する尾花市長