厳かに「和歌祭」神事 疫病の終息祈願も
紀州東照宮(和歌山県和歌山市和歌浦西)で17日、例祭「和歌祭」の神事が執り行われた。祭りの見どころである「神輿(みこし)おろし」と「渡御(とぎょ)行列」は新型コロナウイルス感染防止のため中止し、神事のみとした。疫病の影響でこれらの行事が中止になるのは初めてという。
和歌祭は初代紀州藩主徳川頼宣が父・家康の霊を慰めるため、1622年に始めたとされる。
例年、神輿おろしには約150人、渡御行列には約1000人が参加。大勢の見物客でにぎわうことから、和歌祭実行委員会は安全面に配慮して取りやめることを決めた。
毎年、家康公の新暦の命日にあたる5月17日に近い休日に行われ、ことしはちょうど命日での実施が予定されていただけに、関係者の祭りへの思いは一層強かったという。
神事には神社や和歌祭保存会、実行委員会の役員ら約20人が参列。本殿の扉を開放し、風通しを良くするなど配慮した。西川秀大禰宜が家康公の御霊に拝礼し、疫病が鎮まるよう祈りを込めた祝詞を奏上。関係者が玉串を奉てんした。
和歌祭実行委員会の中山豊若実行委員長は「中止は残念だが、みんなが安心できる状態で行うのが一番。コロナの終息を心から願いながら、力を温存する一年と捉えて、来年の東照宮創建400年、再来年の和歌祭開始から400年の節目に向けて盛り上げていきたい」と話した。