キーノ和歌山オープン 市街地活性起爆剤に
新しい南海和歌山市駅の複合施設「キーノ和歌山」の商業ゾーンと公益施設棟(市民図書館)が5日、グランドオープンする。市と南海電鉄が共同で進めてきた市駅活性化計画の中核部分であり、当初は4月24日に開業予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大により延期されていた。同社都市創造本部の三宅基司統括部長は「地域活性化の起爆剤の施設と考えている。地域の皆さんと一緒に、にぎわいを面として広げていきたい」と話している。
市駅活性化計画は、2017年3月に第1期工事のオフィス棟が竣工。同年4月から、第2期として旧駅ビルの解体が始まり、18年6月には駐車場棟が完成し、さらに、公益施設棟、商業棟、ホテル棟の建設が進められてきた。
グランドオープンに先立ち、4日は報道向け内覧会が開かれ、新施設の全貌が公開された。
こだわりの食が集結 健康と美のフロアも
商業棟は地上3階、地下1階建て、鉄骨造り、延床面積約8600平方㍍。
1階は食品スーパーマーケットやドラッグストア、カフェなどがある。キーテナントはスーパーの「ロックスターファームズ」で、産地直送の生鮮食品や総菜、生花などを扱う専門店が集結し、ブースが並んでおり、消費者と生産者がコミュニケーションしながら買い物を楽しめる。
2階には、10店舗が集まるレストランフロア「キーノ・ザ・フードホール」などが入る。「ローカルで質にもこだわった飲食店の集まり」などをコンセプトに、和食、焼き肉、フレンチ、イタリアン、居酒屋など多彩な味の店が並ぶ。
日本茶専門のカフェ、バースタイルで日本酒などが味わえる店など、キーノでしか楽しめない新しいスタイルの店がそろっている。新型コロナの収束はまだ見通しが立たないが、いずれは県外からも多くの客を集めるフロアとなることが期待される。
平和酒造(海南市)が直営する「平和酒店」の醸造家、木加奈子さん(31)は「造り手の思いを感じてもらいながら、県内の人も県外の人も楽しめる居心地の良い場所になってほしい」と話していた。
3階は健康と美のフロアで、クリニックやリラクゼーションサロン、24時間営業のスポーツジムなどが入居している。
子育て支援や交流も 市民図書館も全開館
公益施設棟の市民図書館は、地上5階建て、鉄骨造り、延床面積約9600平方㍍。運営は指定管理者のカルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱。昨年12月に部分開業し、一部図書の貸し出しと返却をしてきたが、ついに全館がオープンし、年中無休、午前9時から午後9時まで開館する。
1階は一般図書エリアに加え、カフェと書店を併設し、文具や雑貨、和歌山の物産も販売する。
2階は、料理・健康・趣味など生活に身近な資料と小説を配置し、「有吉佐和子文庫」を設置。市出身の作家の関連資料が閲覧できる。
3階は専門的な資料を中心とし、学習室などを用意(現在は制限中)。以前の市民図書館から引き継いだ移民資料室も設置されている。
4階は、子どもが自由に遊び、多様な学びを体験できるスペース。子育て世代が集い、交流できる地域子育て支援拠点施設もある。
屋上には人工芝を敷き、城下町や紀の川を見下ろす開放的な公園スペースとなっている。
市民だけでなく、全国の誰でも図書が借りられるなど、新しいシステムを導入。市教育委員会読書活動推進課の井上豊英課長(57)は「皆さんが利用しやすく、気持ちよく本を読んでもらえる場所になっている」と話し、活用を呼び掛けていた。