濱口梧陵に関する資料 文書館がネットで公開
和歌山県立文書館(和歌山市西高松)がインターネット上で古文書を紹介する「和歌山県歴史資料アーカイブ」で、江戸時代から明治時代にかけて活躍した旧広村(現広川町)出身の濱口梧陵(1820―85)に関する記述がある「渋谷家文書」の公開が12日に始まった。
ことし6月15日は、梧陵の生誕から200年の節目となる。1854年(安政元年)に発生した大地震では、押し寄せる津波から住民の命を救うため稲むらに火を放って目印とし、安全な場所へ住民を移動させた。津波から地域を守るための堤防を設置した他、明治時代には初代県議会議長も務めた。
県立文書館は2018年12月から、過去の和歌山を記録した写真や古文書などの歴史資料を「和歌山県歴史資料アーカイブ」としてインターネット上で公開してきた。県内の他の機関が所蔵する歴史資料の調査を進めていく中で、稲むらの火の館(広川町)が所蔵する「渋谷家文書」に濱口梧陵関係の資料があることを発見し、デジタル化したという。
渋谷家文書は同町の渋谷家に伝わる23点の文書。渋谷伝八(1840―1910)が1909年に執筆した「夏の夜かたり」には、濱口梧陵が私財を投じて建設した広村堤防に関する記述がある。これまで「広川町誌」などで一部が引用されることはあったが、全文が公開されるのは初めて。同堤防の建設にあたり、堤防の敷地が地震や津波で壊れた家屋の廃棄場所となったことが紹介されている。広く活用してもらうため、アーカイブには翻刻(くずし字を活字にした文章)も掲載している。
詳細は県歴史資料アーカイブ(https://www.lib.wakayama-c.ed.jp/monjyo/archive/index.html)。