「南高梅」求める来館者

前号では、移動制限の解禁を受け、営業を再開した、わかやま紀州館の観光コーナーを取り上げた。前回、同館を取材した5月下旬から約1カ月。緊急事態宣言や東京アラートの解除を受け、都内では徐々に元のにぎわいを取り戻している。
わかやま紀州館がある東京交通会館は、JR・東京メトロ有楽町駅から徒歩1分の好立地。地下1階にある同館は乗り換え客の通り道となり、夕方ともなると仕事帰りの人々でにぎわう。
筆者が訪れた19日午後6時30分ごろ、店頭で一際注目を浴びるコーナーがあった。そこでは、県産の青梅の袋詰めが販売されていた。3Lサイズの大きな青梅だが、ことしは天候不順で収穫量が少なく店頭入荷分が無くなり次第、販売を終了するという貴重なもの。梅酒づくりに欠かせない本場・紀州の青梅とあって、買い求める仕事帰りの人々が多く見られた。
購入した会社員の50代男性は「毎年、自家製梅酒を作るのが楽しみ。格別に実が大きい和歌山産の青梅(南高梅)にこだわっている。関東出身で和歌山に縁は無いが、梅の一大産地であることは知っている。いつか実際に行ってみたい」と話していた。
県をまたぐ移動制限が解禁されたとはいえ、遠距離移動が活発化するまでに、もうしばらく時間がかかりそう。アンテナショップとして旬の地場産品の販売や情報発信を積極的に行う同館の役割は大きい。
いかなる状況下でも和歌山の魅力を伝え続ける。これからの活動に大いに期待したい。
(次田尚弘/東京千代田区)