景観保全へ住民らが黒江の町並み調査

 「紀州漆器」で知られる海南市黒江の伝統的な町並みを守ろうと、住民らの保全活動が盛んになっている。先日、町並みを把握する調査が行われた。同地域では昨年、景観に関するルール「黒江の町並みを活かした景観づくり協定」を締結。建築物の高さや色などを決めて、景観が損なわれないようにするもので、今回は締結後初の具体的な取り組みとなった。

 活動には同協定の運営協議会のメンバー、建築士ら約20人が参加。4、5人ずつの班に分かれ、デジタルカメラで写真を撮りながら地図を見ながら町内を回った。調査は建築士のアドバイスを受けながら、建物の歴史や構造、損傷の程度、見た目が黒江らしい落ち着いた景観に合っているかなどをメモしていった。今回の結果を基に4、5月の報告会で今後の活動を検討していく。

 また、この日の勉強会では県地域政策課の岡本勝年課長(53)が、高野町や奈良県橿原市など県内外で盛んに行われている景観づくりの活動を紹介。助成金の活用などについて説明した。

 同協定運営協議会の阪井俊夫会長(62)は
「活動は始まったばかり。黒江の町並みをいつまでも残していきたい」と話している。
 黒江は室町時代に起源があるとされる日本漆器4大産地の一つ。漆器職人の職場や問屋などが通りに面しており、「紀州連子(れんじ)」と呼ばれる格子が有名。築200年で国の登録有形文化財に指定されている建物もあり、文化的価値の高い建築物が多くある。協定の締結には周辺地域も含めて約80世帯が協力した。