県文開館50周年記念コンサート 澤さんら出演

1970年11月に開館し、和歌山県の文化芸術の振興拠点であり続けてきた県民文化会館(和歌山市小松原通)が50周年を迎え、記念コンサート「奏でる50周年」が22日、大ホールで開かれた。県を代表するクラシック音楽のアーティストとオーケストラが協演し、同館の思い出を語るトークもあり、コンサートはライブ配信された。

開会あいさつで仁坂吉伸知事は「日本を代表する音楽家の皆さんが、50周年を祝って演奏する。楽しみに聴きたい」と話し、来年開催の「紀の国わかやま文化祭」にふれ、県にとって本格的な文化の祭典が続々と行われる時期であることを紹介した。

コンサートの第1部は、ことし生誕250年のベートーベンの名作「ピアノ、バイオリン、チェロと管弦楽のための三重協奏曲」。3人の優れたソリストをそろえなければならず、ベートーベンの主要作品でありながら演奏される機会は少ない。

県出身アーティストとして、和歌山市出身のバイオリニストで東京藝術大学学長の澤和樹さん、同市のピアニストで相愛大学や京都市立芸術大学の講師を務める宮下直子さんが登場し、チェロの山澤慧さんと共にソロを務めた。管弦楽は日本センチュリー交響楽団、飯森範親さんが指揮した。

繊細さや華やかさ、重厚さなど多彩な音色の表現力を持つ3人のソリストが絶妙の掛け合いを披露し、会場を美しい響きで包んだ。

演奏後は澤さんと宮下さんのトークがあり、県文で初めてのオペラを鑑賞したこと、演奏家として何度もステージに立ってきたことなど、思い出を語った。

宮下さんは「音楽人生の中で、県文での体験が今も大きく影響している。素晴らしい芸術を、特に子どもたちに提供し続ける場であってほしい」、澤さんは現在の新型コロナウイルス禍にふれ、「疫病の後に心身ともに疲れた人々を癒やすのが芸術の役割。その舞台として、県文は和歌山の中心であり続けると思っている」と話した。

ロビーには、和歌山文化協会華道部による祝賀の生け花が展示された。紀の国わかやま文化祭の広報キャラバン隊によるPR活動も行われ、来場者は豊かな文化にふれる一日を過ごしていた。

 

県文の思い出を語る澤さん㊨、宮下さん㊥