プロ指導の成果披露 演劇研修所の1期生

和歌山市民会館の新講座「演劇研修所」の1期生の発表公演(本紙など後援)が1月31日、同館であった。演劇経験者を対象にした「マスタークラス」と、朗読に関心がある人向けの「リーディングワークショップ」の受講生が、学びの成果を披露した。

演劇研修所は、舞台づくりに関わる人材を育て、自主的な創造活動を促そうと開講。昨年秋から、10代から70代の22人が、加納朋之さん(文学座)と佐藤尚子さん(青年劇場)を講師に、声の出し方や表現法、シナリオの書き方の基礎や物語の構成など専門的な知識を学んできた。

リーディングワークショップの受講生は朗読劇『まちかんてぃ~沖縄の夜間中学に通うおばぁ、おじぃのメッセージ』を公演。夜間中学校に通うお年寄りが青春を取り戻していく姿を生き生きと演じた。

マスタークラスの受講生は、自分たちで脚本、演出した『ヨ・ネ・ツ』を上演。パン屋を経営する女性と、常連客らとの温かい心の交流を描き、県内の地元スーパーや地名もせりふに登場。和歌山弁がふんだんに盛り込まれた舞台で、コロナ禍で売り上げが落ち、店を閉めてふるさとの串本に帰る決断をした女性を中心に、それぞれが前向きに生きる姿をピアノの生演奏を交えて演じた。

メンバーは脚本を練りに練り、どのように観客に見せるか、熟慮を重ねてきたという。脚本・演出を手掛けた同市の宇都宮喜久子さんは「コロナ禍を共に乗り越え、手を携えて前を向いて進む人たちの姿を表現したかった」と笑顔。プロの演出家の指導で芝居を学ぶ同館の「和歌山演劇大学」で学んだ経験もあり「音響や照明を含め、役者がどれだけ多くの人にお世話になっているかを身にしみて感じた。素晴らしい役者が集まり、チームで舞台をつくる一体感が味わえました」と話していた。

演出をした同市の中里佳世さんは「舞台づくりのバックステージを学べる機会は、なかなかない。音楽やお芝居が好きでさまざまなイベントの企画にも携わってきましたが、表現活動という部分でとても勉強になりました」と満足そうだった。

この他、田村明由奈さん作、松永恭昭さん演出の『椿の秘め事』も上演された。

和歌山弁たっぷりに演じられた『ヨ・ネ・ツ』

和歌山弁たっぷりに演じられた『ヨ・ネ・ツ』