紀の国文化祭に向けて バス事故救助訓練

和歌山市消防局中消防署は25日、10月30日~11月21日に開かれる「紀の国わかやま文化祭2021」(第36回国民文化祭、第21回全国障害者芸術・文化祭)で交通利用の増加が見込まれるのを受け、バスによる大規模交通事故を想定した多数傷病者対応訓練を、和歌山城砂の丸広場で行った。

同署の管轄区域には、文化祭の主要会場となる和歌山城ホールや和歌山県民文化会館があり、全国から訪れる人々により、公共交通機関の混雑や観光バスの利用増加などが予想される。

今回の訓練は、砂の丸広場前の交差点でバス同士の衝突事故が発生し、周辺の歩行者らも巻き込まれた想定で実施。同署員約70人と、バスの乗客や負傷者らの役として東京医療保健大学和歌山看護学部の学生約30人が参加した。

事故発生の119番通報を受けて出動した署員は、現場に指揮本部を設置し、負傷者の救出、治療の優先順位を判断するトリアージ、救急処置、医療機関への搬送などの対応に連携して当たった。

「早く助けてくれ」「何をしているんだ」などと署員に声を荒らげる役もいて、訓練会場は、実際の事故現場さながらの混乱や騒然とした様子も再現される中、署員はバスの中の乗客を誘導したり、負傷者一人ひとりに声を掛け、状況を把握したり、冷静に任務を遂行した。

同署の乾嘉晃副署長は「万が一の大事故に備え、迅速に対応する能力の向上を図りたい」、訓練に参加した同看護学部2年生の岡村美海さん(20)、伊藤望愛さん(20)は「やじなどもリアルで、実際の現場のパニックもこういう感じなのかと思った。消防隊の方は冷静に対応されていた」「将来、看護師としてこういう現場に行くことがあるかもしれないので、良い経験になった」と話していた。

 

負傷したバスの乗客を担架で運ぶ消防署員ら