震災がれき「被ばくを考える会」結成

 和歌山市議会が東日本大震災被災地のがれき受け入れを決議したことを受け、 市民グループ 「子どもたちの未来と被ばくを考える会」 が結成され、 14日に同市小人町の市あいあいセンターで総会と記念講演会が開かれた。 東京都のシンクタンク、 環境総合研究所の池田こみち副所長が講演し、 被災がれきの広域処理には正当な合意形成の手続きや科学的・経済的な妥当性の説明がないと述べた。

 市議会の決議を傍聴した市民有志が、 がれき問題にとどまらず、 放射能による被ばくから子どもたちを守るために考え、 行動する組織をつくろうと話し合い、結成が決まった。

 講演会に先立つ結成総会では、 役員や会則の発表があり、 代表世話人に同市黒田の主婦、 芝野絢子さん(33)ら4人が就任。 芝野さんは 「子どもたちを被ばくから守りたいとの共通の思いを持ち、 知恵を出し合うことで困難な状況を変えていけると信じている」 とあいさつし、 同会の活動への協力を呼び掛けた。

 記念講演では、 環境政策や環境計画が専門の池田副所長が広域処理の問題点を必要性、 妥当性、 安全性から論じた。

 必要性については、 岩手・宮城両県の災害がれき約2000万㌧のうち広域処理の希望量は400万㌧だが、 政府の公報は全て広域処理が必要であるかのような印象を与えているなどとし、 必要性を議論できる情報が提示されていないと指摘した。

 妥当性、 安全性については、 首都圏の一般廃棄物でさえ放射性物質に汚染され、 焼却灰や飛灰に濃縮されている状況であり、 広域処理は放射性物質汚染の全国への拡散になると述べた。 さらに経済的観点から、 がれきの輸送により処理コストが高額になり、 被災地にがれきの処理施設を造る方が効率的だとした。

 がれき受け入れについて大橋建一市長は 「最終処分場や放射能の基準などの諸問題が解決され次第、 市民の皆さんの安全・安心を第一に考えて、 受け入れが可能かどうかを検討していきたい」 との見解を示している。

 同会に関する問い合わせは事務局長の松浦攸吉さん (℡073・451・5960) へ。