和歌山に原発がない理由 反対運動の記録出版

 野田佳彦首相が関西電力大飯原子力発電所3、 4号機(福井県おおい町)の再稼働を表明し、 原発の是非をめぐる関西住民の関心は大きく高まっている。 関西電力の原発は福井県の日本海沿岸に集中し、 太平洋側の紀伊半島には一つもない。 その理由に迫る一書 『原発を拒み続けた和歌山の記録』 (汐見文隆監修、 「脱原発わかやま」 編集委員会編)が発刊された。

 同書は、 日高、 旧日置川、 那智勝浦、 旧古座の県内4町にかつてあった原発建設計画の発端から、 住民の反対運動の展開、 計画の終息に至るまでの経緯を詳しく記録している。

 反原発を掲げ、 保守系候補が旧社会党と共産党の支援を受けて当選した昭和63年の旧日置川町長選など、 異例の展開となった興味深い歴史も紹介。 各地の反対運動を担った中心者の地道な行動や発言、 人物像に光を当てた章もある。

 当時の資料や報道、 関係者の聞き書きなどから描き出される推進派と反対派の激しい戦いの様子は、 福島第1原発や大飯原発をめぐる現在の情勢と重なる部分が少なくない。

 現在 「国論を二分している」 (野田首相)と言われる原発をめぐる問題に対し、 同書は 「原発を再稼働させてはならない」 「これからは脱原発社会しかない」 (あとがき)と強く訴えている。

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 【原発を拒み続けた和歌山の記録】平成24年5月11日発行 監修・汐見文隆 編者・ 「脱原発わかやま」 編集委員会 発行所・寿郎社 252㌻ 定価・1500円(税別)