潮干狩り復活へ「あさり姫プロジェクト」
和歌浦の潮干狩り復活へ―。片男波干潟(和歌山市和歌浦南)で、アサリ不足により潮干狩りの中止が続く中、竹筒の中に稚貝を入れ、干潟に沈めて育てる「あさり姫プロジェクト」が始動した。国の補助金を活用した事業の一環。和歌浦漁協が中心となり、和歌浦小学校の子どもたちと共同で地元の魅力ある資源復活を目指す。
片男波干潟は、ツメタガイやナルトビエイの食害でアサリが減少し、平成21年から7年連続で潮干狩りが中止となっている。
アサリ復活に向けては、漁協が天敵からアサリを守る網を張るなどし、生育量は回復の兆しを見せている。このほど和歌浦漁協や観光協会などで「和歌浦活性化活動組織」を結成。4月には市とも協定を結び、官民挙げてアサリの復活へ本格的に動き出した。
今回の取り組みは、農林水産省の「水産多面的機能発揮対策事業」を活用したもの。4日、漁協の10人が同小学校を訪れ、環境学習として和歌浦干潟について学んできた3年生の竹筒作りをサポート。県環境学習アドバイザーで、任意団体「海辺の教室」代表、平井研さん(37)が、これまでの学習を振り返りながら、子どもたちにプロジェクトの内容を説明した。
竹筒の中で育てることから「かぐや姫」ならぬ「あさり姫」とし、外敵から守る竹筒を「なよ竹部屋」と命名。徳島や山口、兵庫で行われている事例を参考にした。他県では漁師が養殖の一環で行っており、子どもたちが主になって関わるのは初めてという。
漁協代表幹事の横田邦雄さん(35)は「これまでは漁師だけがやっていたが、地元の子どもたちに伝えるいい機会。地域を学び、愛してもらうことにもつながれば」と期待。ノコギリを使い、竹筒を完成させた郡美穂さん(9)は「この竹筒でアサリを助けたい。スーパーで売ってるのは食べたことあるけど、和歌浦で採れたアサリを食べてみたい」と話していた。
竹筒は来年、干潟に設置予定。約1年沈め、順調に育てば3㌢程度になるという。アサリの成長には約3年が必要とされることから、漁協では5年をめどに、潮干狩り復活を目標にしている。