伝統を現代に生かすには 文化人4人が対論

和歌山で活躍する舞台芸術家や伝統芸能伝承者らが語り合う「和歌山の文化を熱く語る先輩リーダーたち~伝統と現代4分野代表の対論~」が17日、和歌山市民会館で開かれた。「伝統を現代に生かす」をテーマに、次代を担う子どもたちへの文化の継承など、展望や課題について意見交換した。

和歌山市伝統文化活性化実行委員会(和歌山市民会館)が主催。同館のホールや会議室などを活用する文化プロデューサーを育てる「伝統を現代に生かすわかやま元気塾」講座の第5回。

パネリストに和歌山市民オペラ協会会長の多田佳世子さん、和歌山市交響楽団音楽監督・常任指揮者の江田司さん、落語家の桂枝曾丸さん、和歌山大学紀州経済史文化史研究所特任准教授の吉村旭輝(てるき)さんを迎え、全国公立文化施設協会アドバイザーの佐藤克明さんがコーディネーターを務めた。

4人はそれぞれの活動を紹介しながら討論。枝曾丸さんは「人があっての文化。その時代時代で育てていくものだが、いまはそれを発表する場所が少ない」と、身近に芸能にふれられる機会や施設が求められるとした。

多田さんは、西洋で生まれたオペラの中でも、日本の作品にこだわって活動を続けてきたとし、8月に子どもたちの出演で大成功を収めた「夕鶴」を例に「オペラをどのように継承すればいいのか難しいが、子どもたちに関わってもらい、心に残る経験を増やしていきたい」と語った。

和歌祭御船歌の復興にも携わった吉村さんは「難しいのは、復興よりも継承。各地の民俗芸能は青年会がつぶれている現状があり、その存在の必要性を見出すことも課題」と言及。

今後については、江田さんは「文化は気を付けないと消えてしまう。社会の進歩や進化に伴い難しい部分もあるが、若い人が持つ、生身のものに接したときの瞬発力を大切に、若者と接していきたい」、枝曾丸さんは「和歌山は文化の後進県といわれるが、発信者が和歌山の地に誇りと夢を持ち、お互いに手を組んで一生懸命やっていければ」と話した。

芸術や文化への思いを語るパネリストたち

芸術や文化への思いを語るパネリストたち