岸本、坂田氏が希望入り 衆院選構図固まる

 希望の党(代表=小池百合子東京都知事)は3日、衆院選(10日公示、22日投開票)の第1次公認候補192人を発表し、和歌山県内では和歌山1区で前職・岸本周平氏(61)、同2区で新人・坂田隆徳氏(38)の民進党出身者2人が公認を受けた。両選挙区では、昨年の参院選で一定の成果があった4野党共闘路線はなくなり、自民党と希望の党の対決が軸となる構図が固まった。

 同日夜、和歌山市内の事務所で取材に応じた岸本氏は「安倍政権を倒すために野党が一つになるよう活動してきた。戦うスタートに立った思いだ」と決意。希望の党と公認希望者が交わした、憲法改正や現実的な安全保障政策を支持し、外国人への地方参政権付与に反対することなどを内容とする政策協定書については「非常によく練られた文章。私の政策の範囲に収まっている」と述べた。

 党の変更や公認が公示直前になったことの影響については「もともと政党色を出した選挙はしてきていない。出遅れ感はなく、準備は順調に進んでいる。有権者からの反応も良く、安倍政権だけは止めてほしいという気持ちが強いと感じている」と話した。

 岸本氏は3日付で民進党を離党し、県連代表も自動的に退く。県連や支持団体の連合和歌山には十分説明しているとし、「連合として私を応援してくれることが決まっており、民進党は両院議員総会で希望の党の候補者を応援すると決定している」と、支援体制に問題はないとの認識を示した。

 2区の坂田氏も取材に応じ、「身が引き締まる思い。政策協定書にサインをしたのは重いこと。いろいろな意見も出ると思うが、受け止めて、逃げずにやりきる」と話した。

 2日に民進党の前原誠司代表から「2区は坂田氏でいきたい」と連絡を受け、公認決定を信じて待っていたという。

 希望の党との政策協定の安全保障法制の項目について「協定書では不断の見直しを行い、現実的な政策を支持する内容になっており、交渉を頑張った跡が見えた。即時反対ではなく、見直しを行い、現実の防衛に支障が出ないようにするという点について食い違いはないと思っている」と述べた。

 支援団体、関係者との関係では、連合和歌山からの支援に変わりはないことを説明したが、「割り切れない気持ちもあり、説明する時間が欲しい」と苦しさものぞかせた。

 事務作業では、ポスターやビラなどを改めて作成する必要もあり、急ピッチで準備を進める。

 岸本氏の離党に伴い民進党県連代表を代行することになる浦口高典幹事長は「時間がタイトな中でようやく公認が決まり良かった。連合と一緒に応援していきたい。精いっぱい戦う」と話した。

 野党共闘を呼び掛けてきた市民連合わかやまの豊田泰史共同代表は、憲法改正や安保法制への支持を打ち出す希望の党について「第2自民党だ。党内にはいろいろな考えがあり、いずれ分裂が起こるのでは」との認識を示し、批判した。

 希望の党の2氏の他、1区には自民前職の門博文氏(52)と共産新人の原矢寸久氏(65)、2区には自民前職の石田真敏氏(65)と共産新人の下村雅洋氏(61)が立候補を予定している。