がん遺伝子検査外来 県立医大に10月開設

 和歌山県立医科大学付属病院は10月から、がん遺伝子検査外来を開設する。検査では一度に複数のがん組織の遺伝子を調べる「多遺伝子パネル検査」を採用し、個々に適した治療薬を選ぶことにつながる。同大学によると、こうした取り組みは県内で初めてだという。

 がん治療法はこれまで、発症する臓器によって選択していたが、研究により一部のがんは発症する臓器にかかわらず特定の遺伝子異常で発症することが判明。厚生労働省は、がん遺伝子情報を調べ、変異に従って個々に最適な治療を行う「がんゲノム医療」を本格導入し、全国で11カ所を中核拠点病院、100カ所を医療連携病院に指定した。

 がん遺伝子検査では国立がん研究センターで開発された遺伝子検査試薬「NCCオンコパネル」を活用。がん組織と血液を採取し、がんに関連する114個の遺伝子を調べる。中核拠点病院の京都大学医学部付属病院と連携し、結果に基づいた治療薬を選定。効果が期待される薬剤や臨床試験などを紹介する。

 検査期間は約1カ月。対象患者は16歳以上で、標準治療が終了していることなどが条件。費用は約50万円だが、県の補助金を活用すると半額程度となる。

 県立医大付属病院は19日に記者会見を開き、山上裕機病院長は「県のがん医療の発展に大きく貢献するもので、新薬の開発にも期待できる」と話した。

 問い合わせは患者支援センター(℡073・441・0778)。

会見する山上病院長(中央)ら

会見する山上病院長(中央)ら