耕作放棄地対策に マコモを試験栽培
紀の川市貴志川町高尾の県農業試験場はことし初めて、 耕作放棄地対策に有効な作物として注目されるイネ科の多年草 「マコモ」 を試験栽培、 このほど収穫を始めた。 根本はマコモダケとして、 中国では高級食材として食べられている。 草抜き程度の管理で省力的に生産することができ、 川村和史主査研究員 (46) は 「農家さんが栽培しやすいようにマニュアルを作成し、 耕作放棄地対策の一つの作物として確立させたい」 と話している。
マコモは池や川、 湖などの沼地に群生 。「黒穂菌」 により茎が肥大化し、 食べられるようになる。 産地としては三重県が有名で、県内では伊都地方でも試験的に栽培されている。
同試験場では5月中旬~6月下旬にかけ、時期をずらして株を定植。 早めに植えた方が夏の高温による影響が少なく、 収穫量が増えることが分かった。 初め15㌢ほどの株は、 収穫時期の秋には20本以上に自然に株分かれし、 高さ2㍍を超えるまでに成長する。
マコモダケは長さ20㌢、 直径3~4㌢、 重さ約100㌘。 色は白く、 サクッとした食感でタケノコのような風味。 ほんのり甘く淡泊な味は、 天ぷらや炒め物など用途を問わない。
また低カロリーながら食物繊維やミネラルを豊富に含んでおり、ヘルシー野菜としても注目されている。
現在、 各地の直売所で1本70円前後で販売されている。 1株を定植すれば10本前後の収穫が見込めるため収益率も高い。 株を購入すると1株500円と高値だが、 2年目からは株分けして増やせるため低投資で続けられるという。