県と業者が「わかやまジビエ」試食会
農作物に被害を及ぼす県内のイノシシやシカの肉を使った料理わかやまジビエを広めようと、24日、和歌山市毛見のロイヤルパインズホテルでジビエ料理の試食会が開かれ、県内の精肉店や高級料理店の関係者ら約40人が参加した。精肉店と飲食店とのマッチングを図り、県産ジビエの有効活用につなげるのが目的。
県は、日高川町などでイノシシやニホンジカの農作物被害が深刻化していることから、鳥獣害対策に取り組んでいる。 県、精肉店、飲食店の3者からジビエについて講演があり、参加者からもジビエの流通を活性化させる上での課題などが出された。
地元で捕れたイノシシの肉を販売している「いの屋」(同市藤田)の代表者、北浦順嗣さん(63)は、猟師が銃でイノシシを捕らえる苦労に触れ、「料理のプロの方には、ジビエ料理に力を入れてもらって全国に広めてほしい」と訴えた。ジビエの試食メニューを調理した同ホテルのイタリアンレストラン「カーロ・エ・カーラ」の料理長、齊藤実さんは、東京などでジビエを扱っていた経験から、イノシシやシカの各部位に適した調理法などを解説。「イノシシは脂部分がおいしいし、シカは脂分を補ってあげるよう調理すると良い。和歌山のジビエは、東京に持っていっても通用するのでは」と県産ジビエを評価した。
この日、県産のイノシシとシカ肉を使った料理6種類が用意された。参加者は、煮込んだり焼いたりしたジビエに、フルーツソースを添えたものなどを試食。北海道のエゾシカを扱ったことがあるという、同市木ノ本のフランス料理店「パリゴー」のシェフ、田村知香さん(37)は「和牛などを好む人も多いけれど、メニューに変化を持たせたい。イノシシは思ったよりおいしくて、臭いも気になりませんでした。前向きに和歌山のジビエを検討してみようと思います」と話していた。同試食会を主催したJTB西日本和歌山支店によると、県内で県産のイノシシやシカ肉を使った料理を扱っているのは約180店舗。