シュガークラフトで日本一 楠見中の鎌田さん
和歌山市楠見中の鎌田千香子さん(42)が、このほど開かれた国内最大規模の製菓コンテスト「ジャパンケーキショー東京」シュガークラフト工芸菓子部門で、2年ぶり2回目の第1位に輝いた。シュガークラフトは砂糖の工芸でお菓子作りの技術の一つ。この秋、自宅の一部を改装した教室「ル・シュクリエ」をオープンさせるなど、甘い香りの世界は広がりを見せつつある。
もともとお菓子作りが好きだった鎌田さんは、3人の子どもを育てるためパティシエを目指そうと、平成18年に製菓の専門学校に入学。初めてシュガークラフトの世界を目にし、「パティシエの仕事に役立ちそうだし、じっくり取り組むのが好きな私に向いているかも」と興味を持った。
インターネットで作品の美しさに魅せられ、現在師事する講師の教室を選んだ。21年には、初挑戦した同部門で、プロの菓子職人ら約80人が腕を振るう中、1位を獲得。入賞をきっかけに、さらにシュガークラフトの世界にのめり込んだ。
ウエディングケーキにこだわって創作してきた鎌田さんは、ことしのコンテストで、長女の智存(ちあり)さん(19)のウエディングケーキをイメージして作った。「感情移入すると、一気に集中できるんです」と鎌田さん。和装婚をイメージし、「幸せになってほしい」という気持ちを込めて、ツルが上を向いたデコレーションを施した。
こだわったのは、ケーキに添えるシャクヤクの花。季節的に出回っていなかったシャクヤクを、近所の人の好意で譲り受け、より本物に近づけるため花をばらして構造を研究。1㍉もない厚さの花びらを砂糖のペーストで何百枚も作り、20本ほどの花を試行錯誤した。
デコレーションしやすいよう次男の滉次郎さん(13)に長時間本体を支えてもらうなど家族の協力も得ながら、約4カ月かけて完成させた。1位を獲得したことを知った時、じわじわと実感が湧き涙があふれたという。
来年は、シュガークラフトを始めた頃から目標にしていた、イギリスの国際的な大会に出品する。「『やりたい』と思ったら私は絶対に引かないで、コツコツ努力するのみ。シュガークラフトはまだまだ知られていないけど、繊細で美しい世界を、たくさんの人に見て知ってもらいたい」と話している。
問い合わせは同教室(℡073・481・5038)へ。