大地震に備え 障害者が宿泊避難訓練

 大地震に備え、 障害者が避難所での宿泊を体験する避難訓練が、 紀の川市貴志川町神戸の貴志川保健福祉センターであった。

 障害者の支援団体でつくる那賀圏域障害児者自立支援協議会 (杉原啓二会長) が主催。 障害者の宿泊を伴う避難訓練は那賀地域では初めて。 普段の生活との変化から参加者の半数が眠れず、 精神面の支援をどうするかなどの課題が見つかった。

 参加したのは身体、 知的、 聴覚、 視覚などの障害がある19人とその家族など合わせて60人。 中央構造線がずれ震度7の直下型地震が発生したという想定で行った。

 大部屋で自由に居場所を決めた参加者らは、 壁際に沿って集まったり、 知り合い同士で固まるなどし、 安心感を求める傾向があることが分かった。

 参加した同市桃山町調月の軽度の知的障害がある男性 (21) は 「訓練では知り合いの人がいたことが心強かったです。 実際の避難所では地域の人の理解と支援がないと、 障害がある人は生活できないと思います」 と話していた。 避難所運営ゲーム 「HUG」 の体験や、 避難者の心を和ませるためのフラダンスの披露もあった。

 避難所運営側の課題としては、 車いす用の簡易組み立てトイレが使いにくい▽避難所内の通路などを確保するために避難者の配置を計画的に指示する必要がある▽避難所名簿の記入必要事項が多く記入に時間がかかるなどが見つかった。

 一麦会 「麦の郷」 のコミュニティーソーシャルワーカー相談専門員、 藤本綾子さん (54) は 「訓練でも就寝時に不安で眠れない参加者がたくさんいました。 障害がある人には小さくても安心できる福祉避難所などを増やすことが必要と感じています」 と話していた。