中国で大きな反響 檸檬会の保育事業

 保育事業を全国展開している紀の川市古和田の社会福祉法人「檸檬(れもん)会」(前田効多郎理事長)が、中国で初めて開かれたサービス分野の総合見本市(京交会)に参加し、大きな反響を得た。7月上旬に中国で企業数社と交渉を進めることになっており、前田理事長(40)は「子育てに喜びを感じられ、未来を背負う子どもが笑顔で育つ質の高い保育サービス、新しい風を、和歌山から全国へ、そして世界へ広げたい」と力強く話している。

 京交会とは、中国商務部と北京市人民政府の共催で、6月1日までの5日間、北京国家会議センターで開かれた中国(北京)国際サービス貿易交易会。展示やプロモーション、フォーラムなどがあり、82カ国1721社が参加。中国の行政関係者や企業関係者など延べ約10万人が来場した。

 前田理事長は「中国では幼児教育システムはまだ整っておらず、幼稚園の数も不足している。日本の質の高い保育サービスを求める人は多い」と話す。

 また、中国で檸檬会の保育園が注目された理由の一つに、和歌山市出身の建築家・広谷純弘さん(55)=東京=設計の斬新な園舎があるという。

 前田理事長は、平成15年に「れもん保育園」を紀の川市に開き、19年に社会福祉法人「檸檬会」を設立。待機児童の多い地域に次々に開園し、現在、大阪や滋賀、神奈川、東京など全国で19の保育園を経営している。そのうち8園が広谷さんの設計だ。

 特に昨年4月開園したレイモンド長浜保育園(滋賀県)は、グッドデザイン賞やキッズデザイン賞優秀賞などを受賞。中国の雑誌にも大きく取り上げられた。

 前田理事長は「『人、命を愛する心』『自然と共に生きる心』『創造(想像)する心』の3つの心を育てるという私たちの保育理念と、物語性と芸術性のある広谷さんのデザインは一体。中国でもこの形で進める」と話す。そして、「保育園を始める時『少子化なのに』と(否定的に)言われた。でも、攻めることで可能になる。まずトライし、駄目なら引っ込む。トライしなければ一つも結果は出ませんから」と語っている。