木綿家住宅など答申 国の文化財に
国の文化審議会 (宮田亮平会長) は14日、 和歌山市堀止東の 「木綿 (きわた) 家住宅」 と海南市七山の 「中野家住宅」 を含む全国の建造物126件を国登録有形文化財とするよう文部科学大臣に答申した。 今回を含めて県内の登録数は60カ所、 160件となる。
木綿家住宅は、 昭和15年に上棟された主屋と、 離れ、 土蔵、 門および塀の4件が登録される。 主屋は木造平屋、 瓦葺きで建築面積164平方㍍。
外観の全体は和風だが、 玄関脇の応接間はステンドグラスを備えた洋室で洋瓦をふいており、 和洋がほどよく折衷されている。
築後70年以上だが保存状態は非常に良好。 建築主の木綿房千代は和歌山の主要な近代産業だった繊維業の創業者であり、 近代和歌山の経済的繁栄を物語る建物でもある。
中野家住宅は、 明治時代前期に建設されたと考えられる農家住宅で、 木造平屋、 瓦ぶき、 建築面積126平方㍍。 四間取りで、 下手の八畳が土間に張り出す県北部地域の民家の特徴を備えている。 明治時代前期のこの地方における中規模農家の指標となる家となっている。
建設当初は茅ぶきで、 明治後期に瓦ぶきに改造されたと見られる。
瓦ぶきへの転換はこの地方で明治時代に一般的に見られ、 その転換過程を残す建物としても価値がある。