春の褒章、和歌山県内は7人
平成25年春の褒章受章者が4月29日に発令された。県関係の受章者は62~75歳の7人(男性6人、女性1人)。内訳は、各分野の業務に精励して模範となる人に贈られる黄綬が1人、公衆の利益や公共の事務に尽力した人に贈られる藍綬が6人。16日までに県庁と各省庁で伝達が行われる。
今回を含めた県内の受章者総数は、女性91人、団体1を含む965(黄綬439、藍綬518、緑綬2、紫綬6)となる。晴れの受章者は次の皆さん。
【黄綬】石井惣吉(67)㈱石井コンサルタント社長、和歌山市善明寺
【藍綬】石垣洋介(75)保護司、有田市港町▽岡本勝彦(75)橋本市選挙管理委員長、同市橋本▽清水弘一(74)保護司、田辺市上の山▽畑野富雄(65)橋本商工会議所会頭、橋本市学文路▽藤井清(62)調停委員、和歌山市西浜▽山﨑マサコ(74)民生・児童委員、湯浅町湯浅
安心して暮らせるまちに
設計測量業務に携わり38年。この道を志したきっかけは昭和28年、集中豪雨によって出身地の清水町(現有田川町)を襲った「紀州大水害」だった。
当時7歳だった石井さんが見たのは、建物や木が立ったまま流れるふるさとの姿。復旧作業に追われる町に土木の大切さを痛感した。
平成23年の紀伊半島大水害時には昭和28年の水害を思い起こしたという。「宿命的」と有田川の水位、地すべりの状況、迂回(うかい)路の確保など、被災箇所の調査に力を注いだ。
昭和39年に高校卒業後、大阪の大手ゼネコンに11年間在職。同50年に出身地で測量設計会社を設立し、平成8年に㈱石井コンサルタントを組織した。現在、県が発注した主要道路の設計測量業務などに取り組み、県測量設計業協会会長も務める。
交通の利便性を図る整備、巨大地震に備えて橋の耐震調査などに力を入れており、「ほとんどの仕事が公共のもの。県民が安心して暮らせるまちづくりをしたい」と展望を語った。
家事調停に20年尽力
調停委員は、人々の間のさまざまな紛争を解決するため、当事者間を仲介する仕事。離婚や財産分与など夫婦、家族間の問題を担当する「家事調停」に20年間取り組んできた。
「公平に双方の話を聞くことに徹します」。紛争の原因は何か、どういう決着を望んでいるかを見極め、調停の方向性が決まれば、双方に少しずつ歩み寄ってもらい、合致点を見つける作業になる。
複雑な家庭事情や家族間の感情のもつれに直面することはしばしば。自分の主張が正しいと訴える双方の考え方を最大限に尊重しつつ、第3者の目線で別の見方を提示し、考えてもらう。合意には粘り強く段階を踏むことが必要で、一番長いケースでは3年間かかった。
調停制度は、簡便で法律の裏付けがある解決が得られる制度。もっと多くの国民に利用してもらいたいと、広報活動にも尽力している。
「いろいろな勉強をさせてもらいました。調停委員をさせてもらって本当によかったと思います。元気な限り続けていきたい」