和歌山市の民家に地震シェルター

 南海トラフ大地震などに備えて和歌山市湊に住む男性が、自宅敷地に核、地震ともに対応するシェルターを設置し、話題を集めている。設置したのは元大阪府教諭の畔取(くろとり)義彦さん(71)。スイスなどでは設置が義務化されているというシェルターだが、核や大地震に対応できる多機能の個人シェルター設置は全国でも珍しいという。

 畔取さんが設置したのは、鉄筋コンクリート造りの1室(5畳)。壁の厚さは通常の建物と比べ約3倍の25㌢あり、完全防水。地下の基礎も強化し、耐震性を高めた。

 室内機能では、スイスから輸入したという空気浄化装置を設置。外気が放射性物質やサリンなど有害物質に汚染された場合でも装置が除去し、きれいな空気を室内に送り込むことができるという。

 停電時は自家発電機で電気を供給する。建物外にはカプセル型の津波用シェルターも設置した。総工費は600万円ほどという。

 民家に出現した重厚なコンクリートの建物に、近所の人も興味津々。畔取さんは、見学希望者には建物を公開しているという。また、これまでも防災の専門家や設置を検討している人など10人ほどが話を聞きに訪れている。

 湊地区は海に近く、海抜が3㍍ほど。大津波発生時は最悪の場合、8㍍の波が到達すると想定されている。畔取さんは「昨年夏に東日本大震災の津波被災地域に視察に行きましたが、建物は基礎しか残っていなかった」とし「大災害は起こってほしくないが、いつ起こってもおかしくないのが現実。一人でも多くの人に防災意識を高めてもらいたい」と話している。

 問い合わせは㈱シェルター(℡090・3351・0710)。