11月3日、虐待防止「オレンジリボンフェスタ」

 11月は児童虐待防止推進月間。虐待防止に必要なのは「親への子育て教育」と提唱するのは、和歌山子どもの虐待防止協会の柳川敏彦事務局長(58)=県立医科大学教授=。同協会は11月3日、和歌山市毛見の和歌山マリーナシティで虐待防止や協会への参加を呼び掛ける「オレンジリボンフェスタ」を開催し、関心を高める一日にする。

 柳川事務局長は虐待について、子どもの心や体に害を及ぼすものは全てと定義。親が気付かないうちに虐待しているケースもあるとする。

 親、子ども、家庭のそれぞれの問題が重なると虐待が起こる可能性が高くなるという。悲惨な虐待を減らすには、この一つ一つの問題を社会が支援して解決していくことが大切と考える。また、虐待の疑いがある家庭は、相談相手がおらず孤立していることがよくあるという。

 柳川事務局長は、子育てを前向きに取り組めるプログラムを提案するNPO法人Triple PJapan(本部・東京)の代表理事も務める。「母親の2割は自分は虐待しているのではないかと悩んでいる。それだけ身近な問題」とし、「『たたかないでも子育てできる』ということを親に気付いてほしい」と独自の視点で訴える。

    ◇

 和歌山市神前で発生した虐待死事件について柳川事務局長は、「虐待が事実であるとしたら、子どもを自宅に帰す際には、現実的な子育て方法をしっかりと修得させてからにするべきだった」と強く主張する。

 今後の事件の検証については、父親のみならず母親の子育ての負担、両親の社会に対しての接し方や両親が何か社会にSOS信号を出していなかったなども調べる必要があるとみている。「虐待の背景には必ず理由がある。虐待した親をただ責めるのではなく、どう子育てすればいいかを導いていくことが大切」と事件の再発防止を願った。

    ◇
 オレンジリボンフェスタはマリーナシティ内の紀ノ国フルーツ村前特設ステージで午後0時50分からバナナばんどの演奏で始まり、同1時10分から、天才的即興演奏家として活躍する秦万里子さんのコンサート、同40分からゆるキャラと一緒に歩くパレードがある。問い合わせは同協会(℡073・425・6626)。