イノシシどうにかしてくれ 和歌山市内で被害に怒り

 イノシシによる農作物荒らしが後を絶たない。和歌山市岩橋の約700平方㍍の市民農園で作物を育てている穂芝徳彦さん(73)も被害に頭を悩ませている。これまでに、スイカ、カボチャ、柿、イチジク、黒豆、トウモロコシなど収穫前の半分以上が被害に。穂芝さんは「ことしの被害は特にひどく、ミミズを探して土を全部掘り起こしてしまう。被害がひどいので、サツマイモやジネンジョをつくるのはやめたね」と怒りの矛先が見つからない様子で話した。

 イノシシは、多い時で2日に1回、夕方から夜間に出没。被害の状況からイノシシの大きさは1㍍前後とみられ、1頭で行動しているという。田んぼの表面には、食べ物を探し回って付いたとみられる2本爪の足跡が無数に残っていた。近くに住宅地もあり、人と遭遇した場合、危害を加える恐れもあり対策の必要性がある。

 県や市によると、イノシシの農作物被害は一向に減らず、昨年の被害額は市内で673万円。県全体では、1億9104万円にも上る。市では、猟期以外の4~10月も狩猟を許可し約500頭を捕獲しているが、増えるスピードを抑えるのがやっとの状態という。猟友会などには、報奨金を出して捕獲を推進。しかし、平野部では、頭数が少なく不効率なため、わなが設置されることは少ないという。
    
 市の担当者は、動物による農作物被害において別の視点から各自の対策を促す。「食べ物が豊富にある場所では、親イノシシはわざわざわなに入らない。それにわなを仕掛けると多くの農家は安心して、対策を行わないようになる」とし、「柵など対策をせずに動物に畑を荒らされている状況は、居着かせていることと同じ」と指摘し、防護策の設置を推奨している。