精米業界の課題に対応 東洋ライスが新型選別機
東洋ライス(本社=東京・和歌山、雜賀慶二社長)は、コメの中から色の付いた米粒など(不良品)を除去する色彩選別機の新機種「リターンレス」を発売した。コメの選別漏れはクレームの原因になるなど、精米業界の大きな課題。従来機では複数台を使って選別漏れを防いでいる工場が多いが、新機種は1台で不良品混入ゼロ化を可能にした。
同社は10月31日、大阪府の「リンクウ工場」に取引先を招き、発表会を開いた。
同社によると、従来機は1次工程で選別した不良品を2次工程に送り、そこで良品と判別されたコメを再び1次工程に戻して選別前のコメと一緒に選別する仕組みになっている。選別漏れを防ごうと、大型精米工場などでは複数台設置していることも多い。
新機種は、2次工程で良品とされたコメを1次工程に戻さず、3次、4次工程を設けて再選別を行うため、複数台設置する必要がなくなった。同工場では1月から新機種を稼働しているが、現在までクレームは起こっていないという。
選別漏れ盲点解明さらに同社は、従来機の多くが、運用方法と設置状況を変えることで、不良品の混入を最小限に防げることを解明した。発表会では参加者に研究結果を紹介しながら、長期運転を分割する▽それぞれのコメの選別基準に合った感度を設定する▽タンクの端に設置している再選別のための戻し口を、タンク中央付近にある原料投入口に近付けるなど、原料と均等に混ざるようにする――の3点をアドバイスした。
30㌔でも割り込み可能 同工場では、精米工程で一般的には難しいとされる小ロットの「割り込み運転」が可能で、この日はそのデモンストレーションも行われた。
外部から加工を受託した際など、大ロットの精米中に小ロットの精米が必要になる。同工場では大ロットの精米中に短時間でロットを切り替え、最小ロットを割り込ませて精米。会場では製品が混ざることなく玄米の投入から包装までの一環した流れをスクリーンを使って披露した。
新機種などについて説明した雜賀社長は、「自分がコメになった気持ちになると見えてくるものがある。同じコメを食べるならば、おいしいコメを食べてもらいたい」と話していた。