整備進む京奈和自動車道  紀北地域の「命の道」に

 本コーナーは読者の皆様に支えられ4年目を迎えることができた。地域活性や文化・観光振興に関する県内外の事例をもとに中長期的に私たち県民が意識して取り組みたい事柄の紹介や、各種イベント、和歌山県とのつながりに関するポートなど、ワクワクするような情報を取り上げるよう心掛けてきたつもりだ。

 今回は、数年先の私たちの生活に変化をもたらすであろう「京奈和自動車道」について紹介したい。

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 「京奈和自動車道」は京都・奈良・和歌山を結ぶ延長120㌔の高規格幹線道路。全線が開通すれば、和歌山市から奈良市まで約60分、京都市まで約100分で移動できる。県内では既に橋本道路(橋本IC―高野口IC)と紀北東道路の一部(高野口IC―紀北かつらぎIC)が開通済。国土交通省によると残る紀北東道路(紀北かつらぎIC―紀の川IC)の年度内全線開通に向け工事を推進。紀北西道路(紀の川IC―仮称・和歌山JCT)も平成27年度の開通予定。

 県内全線開通により、紀北地域、いわゆる紀ノ川筋の移動が格段に容易になる。効果のひとつとして、第3次医療施設(日赤医療センター、県立医大病院)への30分圏域の人口比率が現在の75%(約51万人)から99%(約67万人)への増加が挙げられる。

 心筋梗塞や頭部外傷などの重篤患者にとって同施設への30分以内の搬送は50%以上の生存率を望めるといい、新たに紀の川市、かつらぎ町、橋本市、九度山町がそのエリアに加わり、高野町も60分圏域となる。また、東南海・南海地震発生時の交通確保としての役割もあり「命の道」として期待されている。

 京都・奈良・和歌山がつながることによる観光振興への期待も大きい。次週に続き紹介したい。
   (次田尚弘/和歌山)