糖尿病体験を発信 野菊の会・清水さん

 世界的に患者が増加し、脅威が拡大している糖尿病。自らの闘病体験を発信し、他の患者に役立ててもらいたいと、和歌山市の清水正興(まさおき)さん(57)は活動している。清水さんは末期の2型糖尿病と診断され、平成22年から人工透析を続けていたが、ことし8月に生体腎移植の手術を受け、現在はインスリン投与などの治療を受けずに生活できているという。

 厚生労働省の国民健康・栄養調査(平成24年)によると、日本で糖尿病の疑いが強い成人は約950万人、予備軍を含めると約2050万人にも上る。

 糖尿病の中でも多くの患者は「2型」に分類される。食生活の乱れなどから、血糖(ブドウ糖)を下げるホルモン「インスリン」の分泌減少や働きが不十分になることにより血糖が多い状態となり、人工透析が必要になる腎症や、失明、網膜症、神経障害などを引き起こす。

 清水さんは失明の危険性を宣告され、5年前に両眼硝子体を手術。さらにしびれの神経障害を発症し、22年から人工透析を始めた。

 日本糖尿病学会によると、血糖の値が空腹時で1デシ㍑中126㍉以上、食後2時間で200㍉以上が糖尿病と判断される。清水さんは当時、650㍉前後の値を行き来し、インスリン投与や経口血糖降下剤の服用を続けていた。

 ことし8月、愛媛県の病院で腎移植を受け、9月に退院。入院前からブドウ糖を生成する炭水化物を控えた食事にするなどの克服メニューを実践し、今も米や麺類は口にしていない。その効果もあり、焼き肉や糖質ゼロのビールなどで夕食をしても、血糖値は正常値に収まっているという。

 清水さんは、身寄りのない高齢者などを支援するNPO法人「野菊の会」の専務理事として活動しており、自身の闘病体験を他の患者のために役立てたいと、講演などを行っていく。「和歌山の人たちを元気にしたい。私の体が動く限り、私が糖尿病生活で得た情報を発信したい」と話している。

 問い合わせは同会(℡073・421・8464)へ。

闘病体験を語る清水さん

闘病体験を語る清水さん